英語が話せない理由は、自分が言いたいことを言うためのフレーズや言い回しを、単純に聞いたことが無いからだ……と教えてくれたのがオーストラリア在住の人気YouTuberで英会話講師のHaru(ハル)さんである。
Haruさんは「もしも、家に帰って“ただいま”という言葉を聞いたことが無かったら、自分が家に帰った時に“ただいま”という言葉は口から出てこないのが普通ですよね」と言う。ほとんどの日本人が、外出先から家に帰って来た人が、玄関を開けて「ただいま」と言っているのを聞く。または、母親やきょうだいから、家に帰ったら「ただいま」と言いましょう、と、子供の頃に教えてもらったからこそ、すべての日本人が「ただいま」という言葉を知り、理解しているのである。
同じように、英会話では、自分が言いたいことを言うための、英語の言い回しを知らないから言えない。または、聞いたことが無いから自分でも言えないのだ、というのがHaruさんの主張なのである。
そうなると、英会話ができない人は、学生時代に英語の成績が悪かったからでも、英語のセンスが無いからでもない、単に知らなかっただけ。もしくは、聞いたことが無いから言えないだけなのである。だったら、言いたいことを言うためのフレーズを身に付けたら、英会話ができるようになるかもしれない。Haruさんの教えは、私達に希望を与えてくれる。
パズルのように言葉をあてはめる「パズル英会話」が効果的
日本語で自分が言いたいことを言うために、自分で一から英文を作るのではなく、言いたいことを代弁できるフレーズ(Haruさんが主張するパズルピース)をたくさん集めておいて、それをベースに英文を組み立てることで、英会話ができるようになる。Haruさんはそんな新しい方法を提案してくれた。
「自分でイチから単語を並べて文章を作ろうとするのではなく、既に存在しているもしくは聞いたことがある英語のパズルピースに、常に頼れば良いのです」と言うHaruさん。日本語から英語を組み立てるのではなく、すでにたくさん使われている英語の中から、自分が言いたいことに一番近いものを見つけてあてはめる。まさにパズルピースの発想である。
Haruさんは、「英会話の難易度に関係なく、自然な英語を話せるようになるためには、暗記したフレーズをパズルとして、他のものとつなげていくのが一番よい方法です」として、「パズル英会話」という言葉を生み出した。新刊書「たった70ピースを組み合わせるだけで話せるパズル英会話」(SBクリエイティブ発刊、定価1650円)ではそのやり方を詳しく解説している。
パズル英会話の考え方
Haruさんのパズル英会話ではたった70ピースを組み合わせるだけで英会話ができるようになると言う。このパズルのように英語を組み立てるという考え方を簡単に紹介しよう。まずは下記の図の説明から解説しよう。
例えば恋人とドライブに行った時、高校生の集団が歩いているのにすれ違ったとする。あなたはふと自分の高校時代のことを思い出して、「そういえば放課後よくあのパン屋さんに行ってたなぁ」と恋人と会話をするシーンを想像して欲しい。
「そういえば~だったなぁ」というフレーズは日常でも良く使う。もし日本語を英語に直して英文にしようとすると、なかなかI rememberという英文は、とっさに出てこない。Haruさんは、「そういえば~だったなぁという日本語での言い回しをそのまま英語に変換しようとするのではなく、そういえば~だったなぁという感情の時には、I rememberを使うというパズルのラージピースとして音で把握しておくことを勧めている。定型フレーズとしてすでに身に着けてしまえば、「そういえば~だったなぁ」という感情が湧いてきたら、I rememberが真っ先に出てくるように、パズルラージピースとして身に付けてしまうのである。
Haruさんはすぐに話せるようになるラージピース34と、その応用でより表現力をアップさせる36のラージピースを紹介して、合計70のピースを記憶し、身に付ければいつでも、どこでも、いつまでも話せるようになると教えてくれた。
さらにラージピースの他に、パズルピースとして「ミドルピース」、「スモールピース」、「シングルピース」、「おまけピース」で文章が構成できる。それぞれの解説は図の通りである。