【勝手にブック・コンシェルジュ 第9回】『虎に翼』のよねさんに、『82年生まれ、キム・ジヨン』を
山田よねさん、おかえりなさい!
われらトラツバファン(虎に翼ファン)は、よねさんが東京大空襲で亡くなったなんて、まっっったく思ってはおりませんでしたが、しかし、やはり安堵いたしました。しかも帰還しょっぱなの放送(6月10日)から「さすが、よねさん!」と感服つかまつり候の巻。
「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」という憲法第十四条の文言を「ずっとこれが欲しかったんだ、わたしたちは」と噛みしめながら明律大学で共に法律を学んだ女子部の面々を思い出す、よねさん。
「でも、これは自分たちの手で手に入れたかったものだ。戦争のおかげじゃなく」と悔しそうな表情を見せる、よねさん。
戦地から生きて帰ってこられた轟に「惚れてたんだろ、花岡に」「別に白黒つけさせたいわけでも、白状させたいわけでもない」「ただ、わたしの前では強がる意味がない、そう言いたかっただけだ」と静かに語りかけ、判事として清廉でありたいがゆえにヤミ物資に手をつけず餓死してしまった花岡の死を、轟にきちんと悲しませてあげた、よねさん。
弱い自分を見せるのが下手だし素直じゃないから、そっけない態度しか取れないけど、本当はとてもとても優しい、弱きを助け強きをくじく正義漢よねさんの真骨頂を見せてもらって、トラツバファン歓喜の 6月10日回ではありました。
落とされても落とされても、司法試験の最終面接にスーツ姿(男装)で臨むことをやめなかったよねさん。男尊女卑と闘い続けるあなたにオススメしたい本は、韓国本国130万部を突破するベストセラーになり、女性の共感の声ばかりではなく、アンチ・フェミニズムの男性の怒りの声をも引き出し、社会現象というべきムーブメントを起こしたチョ・ナムジュの『82年生まれ、キム・ジヨン』(ちくま文庫)です。
『82年生まれ、キム・ジヨン』
チョ・ナムジュチョ (著) 斎藤 真理子(翻訳)
ちくま文庫