日本で売れる鍵は「価格」なのか。サステナブル先進国の事例
クナイプはバスソルト50g用の配送用梱包資材も、草パルプに変更。
何十年も前から環境に配慮した製品が重要視されているドイツやオーストラリアの企業では、サステナブルな取り組みが結果として表れている。ドイツ生まれのハーバルブランド「クナイプ」は2010年に使用電力を水力発電エネルギーに変えたことで翌年20%のCO2排出量削減を実現し、近年では主要商品であるバスソルト850g用キャップを仕様変更したことでプラスチック使用量10%削減。環境先進国ドイツではサステナブルな取り組みが消費者の評価に直結するため、企業も積極的に注力している。
大豆由来のインクで印刷された、クロコダイルクリーク「WORLD OF DINOSAURS」1,650円(税込)※ロフトでは6月中旬頃より展開予定。
「アメリカの取引先から、日本人は環境に配慮しているアイテムかどうか気にする人が少ないよね、と言われます」と話すのは、欧米から生活雑貨等を輸入する、湘南インターナショナル株式会社の営業担当。
サステナブルな商品は一般的に流通している商品に比べて価格が高くなる傾向があり、さらに円安も相まって輸入雑貨を取り扱う企業には逆風が吹いている。ただ、今回ロフトで新発売となったクロコダイルクリークのパズルのように環境に配慮し、かつ手に届く価格帯の商品を選び、日本人に手にとってもらえるよう心がけていると言う。
STTOKE「ストーク Lサイズ」5,940円(税込)
海外では環境に配慮していることは大前提として、質の高い新しい商品も数多く登場している。オーストラリア・メルボルン発の「STTOKE(ストーク)」はスクリューロックによる完全止水のフタ付きタンブラーで、セラミックコーティングのためステンレス製と比べて特有の臭いが気にならず、コーヒーをおいしく飲めるもの。
創業者がコーヒー文化が根付くオーストラリアのカフェで、ゴミ箱が使い捨てカップで溢れている状況を見て開発したもので、心地よいコーヒータイムを楽しみながら、プラスチックを削減できる。
消費者に寄り添う、ロフトのサステナブルな取り組み
リサイクルペレットを5%配合したお買い物かご(小)。
ロストではサステナブルな商品を販売するだけではなく、さまざまな回収リサイクルプログラムも行っている。2021年11月より実施している「ロフト グリーンプロジェクトリサイクルプログラム」では、35ブランドの協力のもと、化粧品の容器を回収。2024年4月時点で容器回収量は3.6tにまで達し、回収した容器の一部素材を活用した買い物かごを試作した。この買い物かごは2024年秋に、一部店舗での使用を予定している。
滝田さん「ロフトの強みとしては、あらゆるブランドに賛同いただくことで、より多くの容器を回収できる、という点です。できるところからはじめる、生活になじむサステナブルを消費者にも提案したいですね」
自分がその商品を選ぶことによって、環境や社会へと良い影響をもたらすサステナブルなアイテム。ただ、日本では安くて高品質な商品が手に入りやすいからこそ、それよりも高価な傾向にあるサステナブルな商品は購入されにくいことも事実で、メーカーとしては「なぜこの価格なのか」を丁寧にを説明する必要があると感じた。
実際に各メーカーと話すと、自社商品への想いは並大抵ではない。SNSやロフトのような小売を通して、その熱意をいかに消費者に届けられるか――それがサステナブル雑貨を単なる流行で終わらせないためにも、重要なポイントとなりそうだ。
取材・文/小浜みゆ