「エゴイスト」と「エゴイズム」の違いとは？覚えておきたい言葉の正しい使い方

ファッションブランドの名前や映画のタイトルにもなっている『エゴイスト』とは、どのような意味なのでしょうか？『エゴイズム』との違いや、類義語・対義語、例文を紹介します。ビジネスシーンにおけるエゴイストの対処法についても、把握しましょう。

エゴイストの意味とエゴイズムとの違い

エゴイストとエゴイズムは似た言葉ですが、意味が異なります。適切に使い分けるために、まずは両者の意味の違いを理解しておきましょう。

■「エゴイスト」は人を指す

『エゴイスト』とは英語の『egoist』の片仮名語で、二つの意味があります。

一つ目の意味は、自己中心的な行動や考え方を持つ人です。他人の感情や意見を無視して、自分の利益や欲求を最優先に考える人を指します。例えば、他のメンバーの意見を無視し、チームの中で自己中心的な意見を押し通す人は、エゴイストといえるでしょう。そのため、エゴイストは他人との関係を損ない、孤立することもあります。

エゴイストの二つ目の意味は、哲学の『エゴイズム』を信じている人です。エゴイズムについては、次項で解説します。

■「エゴイズム」は思考や態度を指す

『エゴイズム』とは、英語の『egoism』の片仮名語です。エゴイストと同じく、二つの意味があります。

一つ目の意味は、自己中心的な考え方や態度です。他人のことを考えず、自分の利益だけを優先させる思考のことをいいます。二つ目の意味は、自我主義ともいわれる哲学的な思想です。確実に存在するのは自我だけで、他は認識できないという考え方です。

日常においては、一つ目の意味で多く使われています。

エゴイストを正しく使いこなそう

(出典) pixta.jp

エゴイストとエゴイズムの違いを理解したら、日常生活やビジネスシーンで実際に使ってみましょう。エゴイストの理解を深めるために、類義語と対義語、例文を紹介します。

■エゴイストの類義語と対義語

エゴイストの類義語には、他人よりも自分の利益を優先する人を指す、『利己主義者』や『わがまま』『身勝手』『自己中心的な人』などがあります。エゴイストは人を指しているため、類義語が『利己主義』や『自己中心的』ではない点に注意しましょう。

英語では、わがままな人を表す『selfish person』や、自己中心的な人を意味する『self-centered person』が、『egoist』の類義語に当たります。

対義語としては、『利他主義者』や『愛他主義者』が挙げられます。どちらも、自分を犠牲にしても他人の利益を優先する人を指す言葉です。英語で利他主義者や愛他主義者を表す言葉は、『altruist』が該当します。

■エゴイストの例文

まずは、日常生活で使える例文を見てみましょう。以下が、日常生活でエゴイストという言葉を使うときの例文です。

• エゴイストな彼女は、友人の希望や都合を考えずに旅行の計画を立てた
• 自分が得するように立ち回っている彼は、エゴイストで付き合いづらいと周囲に思われている

ビジネスシーンにおけるエゴイストの例文は、次の通りです。

• エゴイストな上司は、部下の努力を評価せず、自分の功績だけを強調する
• 顧客のニーズよりも自分の販売ノルマを優先するエゴイストな彼は、営業に向いていない

自分の利益だけを考え、他人の利益や気持ちを無視する人に対して、エゴイストという言葉を使います。

ビジネスシーンにおけるエゴイストとは

(出典) pixta.jp

ビジネスシーンでは、相手がエゴイストでも上手に付き合わなければなりません。エゴイストが業務に与える影響や、角を立てずにエゴイストに接する方法を紹介します。

■エゴイストの特徴

自分の利益を最優先に考え、他人の意見を無視し、自己中心的にふるまう人がエゴイストです。ビジネスシーンにおけるエゴイストは、自分のノルマ達成や評価のためだけに行動するので、チームや周囲の人のことを考えません。

誰しも自分の利益を考えることもありますが、エゴイストは自分の利益や欲求のみを考えます。自分に利益をもたらす人とは仲良くする半面、利益にならない人をないがしろにするケースも多くあります。

■エゴイストが与える影響

エゴイストの利己的な行動は、チームワークの悪化や、コミュニケーションの妨げになることがあります。

チームのリーダーや上司がエゴイストだと、他のメンバーや部下の意見を無視する傾向にあるため、信頼関係を築けません。仲間や同僚がエゴイストの場合は、チーム内の足並みがそろわず、プロジェクト進行の妨げになる可能性もあります。

ビジネスシーンにおけるエゴイストは、チームの士気を低下させたり、信頼関係が築けなかったりと、業務に悪影響を及ぼすことが考えられます。

■エゴイストと接する方法

一緒に業務を行う人がエゴイストである場合は、エゴイストの特徴を思い出し、上手に立ち回りましょう。

エゴイストは『誰が自分の利益につながるか』を考え、常に損得勘定をしています。エゴイストに「この人は利益にならないな」と判断されたら、距離を置かれてしまうため、仲良くなりすぎないように意識することが大切です。

また、エゴイストは相手を尊重しない傾向があります。エゴイストが相手に対し、「この人は自分に利益をもたらしてくれそうだ」と判断すると、どう利用すべきか考え始めます。エゴイストに利用されないように、一定の距離を保って接するとよいでしょう。

エゴイストを正しく使いこなそう

(出典) pixta.jp

利己的な人を意味するエゴイストと、利己主義を表すエゴイズムという言葉を正しく理解しておきましょう。適切に使えるようになれば、ビジネスシーンのコミュニケーションを円滑にする一助となります。

エゴイストの行動や考え方の特徴を理解しておけば、チームにエゴイストが存在していても、適切に対処できます。エゴイストに振り回されず、チームや自分の業務効率を落とさずに済むでしょう。

構成／編集部