DMMビットコインでビットコインが流出した。流出した資金は保証されるようだが、今後も起きうる仮想通貨の不正流出で気を付けたいことは何であろうか。
ビットコイン流出時の保証
5月31日にDMMビットコインで、482億円相当のビットコインが不正流出した。
この不正流出を受けて、DMMビットコインは利用者が保有している仮想通貨を他のウォレットに移すことができないなどの一部サービスが停止している。一方、不正流出したビットコインは全額保証される予定だ。保証は、ビットコインで行われる。
これまでも、仮想通貨の不正流出は起きているが、保証状況は以下の通りだ。
不正流出しても、国内の仮想通貨取引業者では概ね顧客に資産が返還されている。
ただ、多額の不正流出により破綻まで陥ると、返還に時間がかかってしまう可能性がある。
現金での保証は損失が生じる可能性も
2018年のコインチェックの多額の不正流出を受けて、日本の仮想通貨取引業者に対する規制は厳しくなった。仮想通貨取引業者は登録制となり、登録会社は、インターネットに接続せず不正流出がしにくい「コールドウォレット」での管理が微務づけられ、取引業者が倒産した場合でも顧客が優先的に資産を返還してもらえる「優先弁済権」が顧客に認められている。
ただ、今回のDMMビットコインは、「コールドウォレット」で管理されていた。原因はまだわかっていないが、「コールドウォレット」で管理されていたとしても不正流出は起きうるということだ。顧客としては、取引業者の倒産、仮想通貨の不正流出したときに保証してもらえるかが重要だ。これまでの直近で国内の取引業者は、倒産した場合や不正流出があったときは保証が行われてきた。ただ、その保証に時間がかかることもある。そのため、保証がきちんと行われ、迅速に返還される取引業者を選ぶ必要がありそうだ。
一方、返還されても、その返還手段が現金であった場合、仮想通貨のそのときの価格次第では損失が確定してしまうことがある。また、再びその現金で購入するとしても、その前の取得価額で買えるかどうかは分からない。
損失が生じたとき、損益通算できる?
仮想通貨の損益は、基本的に雑所得となる。そのため、給与所得や事業所得等の他の種類の所得との損益通算は認められていない。なお、雑所得内であれば損益通算はでき、副業等の収入とは相殺できる。
そして、仮想通貨取引業者の倒産や資金流出の際に現金で返還された場合、売却したのと同じ扱いになる。もし、対応する仮想通貨の取得価額+買付時の手数料を、その返還金額が上回る場合には雑所等として確定申告する必要がある(会社員には給与所得以外の所得が20万円以下となるとき等確定申告が不要となる特例あり)。
◎本記事は仮想通貨取引への投資を勧めるものではありません。
◎仮想通貨の売買はリスクを理解の上、自己責任でお願いします。
(参考)
日経新聞 2024年6月5日「DMM、ビットコイン不正流出の原因はなお調査中」
暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和5年12月)|国税庁 (nta.go.jp)
文/大堀貴子