艷やかな音のFerrum「WANDLA Golden Sound Edition」
Ferrum Audioは、2020年ポーランド生まれのオーディオブランドでデスクトップサイズの高音質なDAC、ヘッドホンアンプ、パワーサプライなどを作っている。「WANDLA」はDACのフラッグシップモデルで、DACにES9038PROを使い独自のデジタルフィルターと組み合わせている。今回、出展された「WANDLA Golden Sound Edition」はゴールデンサウンドというオーディオレビューサイトのキャメロン・オートリー氏とのコラボモデルで、インパクトプラス、チューブモード、スペシャル・インパクトなどの新機能を搭載した。クッキリとしてメリハリのある音で、ボーカルは通常版よりも艷やかで滑らかな音に仕上げられていた。これはかなり魅力的なコラボモデルだ。
Ferrum Audioはヘッドホンアンプ、パワーサプライ、DAC/プリアンプをデスクトップサイズで製品化している
上が「WANDLA Golden Sound Edition」、下が通常版「WANDLA」で比較試聴ができた
FiiOの最新フラッグシップ「K19」
FiiOからは、タテ型デスクトップモデルで新境地を開いた「Rシリーズ」のデザインを踏襲したかのようにタテ置き対応したDAC内蔵ヘッドホンアンプ「K19」が登場した。DACはESS社最新のES9039SPROを2基搭載、アンプ部にはTHX社と共同開発した「THX AAA-788+」を8ch積んで、8000mWの大出力を実現した。音質に影響のない31バンドのパラメトリックEQ機能も搭載。実勢価格約24万7500円。
ヨコ置きも可能だが、本体に印字された文字もタテ位置になっているため、タテ置きがデフォルトと考えていいだろう。画面はヨコ位置表示に対応
XLRバランス端子を含めて豊富な入出力端子を装備。HDMI ARCにも対応
13年ぶりの新製品AudioDesign「DCHP-200」
オーディオデザインは創業20年の歴史を持つ、日本のオーディオメーカーでプリアンプ、パワーアンプ、DAC、フォノイコライザーなどを製品化している。今回は13年ぶりとなるヘッドホンアンプ「DCHP-200」希望小売価格33万円が登場した。最新設計だけあって、4.4mmバランス接続に対応、さらにXLR4pin、XLR3pinのバランスと6.3mmの標準ジャックも備える。ゲインと出力インピーダンス切り替えがあり、アンバランスをバランスに変換する機能もあり、出力端子があるのでプリアンプとしても使えると機能満載。同社のUSB/DAC「DCDAC-180」と組み合わせて再生すると、フワッとした柔らかい音でいながら、音像定位は明確に描かれる。最近はエッジが立った音が多いので、これはホッとする音だ。情報量は多く繊細な音が得意、海外製品よりもハイコスパで高音質が楽しめるモデルだ。
左右230mmのボディに4系統の出力端子を備えた「DCHP-200」
優しい音色のOJI Special「BDI-DC44D-GT3 α」
前回、ヘッドホン用パワーアンプ+パッシブアッテネータという組み合わせで登場したOJI Special「BDI-DC44D-GT3」のαオプションを展示。前回はパッシブアッテネータと組み合わせて無色透明に近い音を再生していた。OJI Specialらしいリッチな響きと音色が排除されモニターライクな音になっていたのだが、今回のαでは個性が戻ってきた。設計者の西尾さんによれば、「BDI-DC44D-GT3」には44D専用サウンドと今回のαが発注時に選択できるという。音楽を楽しむなら、柔らかい音色と響きを持つαの方が適している。組み合わせるプリアンプの音色を大切にしたい、またはヘッドホンの音を変えたくない人は前回の44D専用サウンドがいいだろう。
注文時に2種類の音から選択できる「BDI-DC44D-GT3」。試聴用ヘッドホンは密閉型のDENON「AHD-9200」をリケーブルしたものが使われた
真空管を搭載した「A&ultima SP3000T」
Astell & KernのハイエンドDAP「SP3000」のアナログアンプ部に真空管を搭載した「A&ultima SP3000T」が登場した。使ったのは電池で駆動できるサブミニ管レイセオンJAN6418をペアリングしている。OPアンプモード、TUBEアンプモード、HYBRIDアンプモードの3つが選べる。TUBEアンプモードは量感ある低域と響きが加わり真空管のイメージ通りの音を聞かせてくれた。
オペアンプ、ハイブリッド、真空管の3つのアンプモードから選択できる
背面に透明パーツが使われ動作中の真空管が見えるデザインを採用
「Music with 規格外」にも新作アンプが並んだ
主にビンテージのポータブルカセットプレーヤーとCDプレーヤー、そしてヘッドホンを展示する「Music with 規格外」には自作派の人々の作ったポタアンも試聴スタンバイしている。色々と聞かせてもらった中から、キットはハードルが高いので完成品から紹介する。Web通販などで入手可能だ。
ニックネームさん(@NicknameOnGame)が作っているThyris Electronicsは測定を重ね全高調波歪率を低くするという手法で追い込んだアンプで、まさに何も足さない何も引かないモニターアンプの音だった。「HAS‐0S」「HAS-0」は約8時間駆動できる内蔵充電池、またはUSB-C端子による給電と充電がおこなえる。
超真空管さん(@PC980186)が作っているのがUSB-Cで給電できる真空管とトランジスタのハイブリッドヘッドホンアンプ。真空管にはレアな日本製12BH7Aを使いLEDでライトアップしている。響きが乗った心地よい音が楽しめた。
これでもカオスが控えめになった「Music with 規格外」ブース
Thyris Electronicsのハイエンド「HAS‐0S」は予価12万円ぐらいで負荷16Ω、2Vrmsで全高調波歪率0.00005%、S/N比120dB以上を誇る。圧倒的なハイパワーで、どんなヘッドホンでもドライブできるという
「HAS-0」は負荷32Ω、2Vrmsで全高調波歪率0.00006%、4万8500円。「HAS-piccolo」は全高調波歪率0.0001%、2万2000円。極性を問わないDC外部入力にも対応する
「HAS-piccolo」は電源に006Pの9V電池、または外部DC給電を使うかを選択できる
「MX-06 改」は2万2000円。USB-Cから5Vの給電で動作する
「SZ-TD1」は2万4000円。やすしさんと共同開発した真空管DACアンプ
写真・文/ゴン川野