付帯音のない別次元の音
それではどんな音がするのが早速、試聴させてもらった。接続したのはFiiO「M15」で4.4mmのバランスケーブルを使用。ヨルシカ「晴る」を再生すると情報量が非常に多い。finalが提唱する4Kサウンドという言葉が頭に浮かんだ。カラリとして澄み切った音で、余分な響きがない。全てが鮮明で曖昧さのない世界だ。楽器の音の出る位置がハッキリして、音像定位が非常にシャープ。Creepy Nuts「二度寝」のイントロは低音のレスポンスがよく、普段よりも軽くもたつかない。今まで聞いていた音は響きが加わったり、厚みが増えたりと脚色されていたことに気付く。それが音色や個性になるのだが、FUGAKUは全ての付帯音を排して純粋な音を聞かせてくれた。広々とした空間に緻密な音によって音楽が構築されていく。音のつながりもよく異なるドライバーをマルチで鳴らしているようには思えない。機会があればぜひ体験していただきたい別次元の音だ。
イヤホンとの接続には片chで8芯のオリジナル銀線ケーブルを使い端子も7pinの専用設計になっている
イヤホンのハウジングはチタンを使用。実際に装着すると驚くほど軽く耳が圧迫されない
進化し続ける音、TEAC「UD-507」と「HA-507」
TEAC「Reference 500」シリーズはデスクトップサイズにまとめられた高性能モデル。今回、参考出品されたのはオリジナルのディスクリートDACを使った「UD-507」である。6月29日発売予定、希望小売価格は32万7800円。上級機の701シリーズのDACと同等の回路を小型化してA4サイズの筐体に収めている。
内部はデュアルモノのフルバランス回路構成で、4.4mmとXLRのバランスヘッドホン出力を搭載。6.3mmの標準プラグにも対応する。バランス出力で1200mW+1200mW(100Ω負荷)の高出力を誇る。BluetoothはLDAC、LHCD、aptX HD、AACに対応する。多彩なデジタル入力に加えてバランスとアンバランスの アナログ入力を備えプリアンプとしても機能する。バランス接続で聞くと情報量が多く繊細な音まで伝えてくれる。アナログヘッドホンアンプの「HA-507」に接続すると中低域に厚みが加わり、さらに緻密で濃厚な音が楽しめた。
A4サイズに機能を凝縮したDAC内蔵デジタルタルプリ「UD-507」はヘッドホンアンプも内蔵した
「HA-507」はクラスABのアナログアンプを搭載したバランス出力対応のヘッドホンアンプでプリアンプとしても使える
フルサイズのフラッグシップモデル「UD-701N」に搭載されたディスクリートDACをさらに進化させたものを「UD-507」に搭載している