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古くから使われる慣用句には人間関係を構築する際に役立つ心構えが表されているものがある。その一つが「来るもの拒まず、去るもの追わず」だ。
本記事では、「来るもの拒まず、去るもの追わず」の意味や言葉の由来、正しい使い方などを解説する。また「来るもの拒まず、去るもの追わず」な態度を身につけると、人間関係のトラブルに悩まされにくいとされているため、性格の特徴も見ていこう。
「来るもの拒まず、去るもの追わず」とは?
「来るもの拒まず、去るもの追わず」の読み方は、「くるものこばまず、さるものおわず」。まずは、意味や由来、英語表現を確認していこう。
■意味
「来るもの拒まず、去るもの追わず」は、近づいてくるものは誰でも受け入れ、離れるものは意志を尊重し、引き留めないといった意味を持つことわざ。人間関係においてのあり方を指す言葉で、誰とでも付き合い、相手を尊重する寛大なスタンスを示す。
■孟子の教えから由来したことわざ
「来るもの拒まず、去るもの追わず」は、中国戦国時代の思想家、孟子の逸話・問答集に出てくる「往く(ゆく)者は追わず来る者は拒まず」の考え方に由来する。この言葉には孟子の弟子に対する態度が表されているとされる。
■英語表現
「来るもの拒まず、去るもの追わず」は、「those who come are welcome, those who leave are not regretted」と表現できる。直訳すると、「来る者は歓迎し、去る者は惜しまない」となる。
例文
He has a “those who come are welcome, those who leave are not regretted” personality and doesn’t seem stressed about relationships.
(彼は「来る者拒まず、去る者追わず」な性格で、人間関係にストレスを感じているようには見えない)
また「来るもの拒まず、去るもの追わず」が持つ、寛大で心の広い様を表す英語表現としては「generous」「tolerant」なども挙げられるため、あわせて覚えておこう。
「来るもの拒まず、去るもの追わず」の正しい使い方
「来るもの拒まず、去るもの追わず」の正しい使い方や、言い換え表現を例文とあわせて解説する。
■例文
会話の中では、「来るもの拒まず」「去るもの追わず」のそれぞれを単体で使うこともある。また「去るもの追わず」には、執着がなく、冷たいニュアンスが含まれる場合もあることを覚えておこう。
・私たちのサークルは来るもの拒まず、去るもの追わずなので、気軽にどうぞ。
・彼女は来るもの拒まずな性格で、男性からモテるタイプだ。
・好意を寄せていた相手に冷たい態度をとられたと嘆く友人に、去るもの追わず、新しい人を探すようアドバイスした。
■類義語
「来るもの拒まず、去るもの追わず」に表される、自分に寄ってくる者を誰でも受け入れ、相手を尊重する姿勢は寛大さを示す類義語が多く当てはまる。「来るもの拒まず、去るもの追わず」と類義語関係にある言葉には、例えば、度量の大きい、懐の深い、おおらかな、器の大きいなどがあるだろう。
また「清濁併せ呑む(せいだくあわせのむ)」も類義語の一つ。心が広く、善悪分け隔てなく受け入れる様を表す慣用句だ。流れの清らかな清流と、流れが激しく濁っている濁流の両方を受け入れる大海の様が語源とされる。
例文
新しいプロジェクトリーダーは、清濁併せ呑む心を持っているため、部下から慕われている。
「来るもの拒まず、去るもの追わず」な人の特徴
来るもの拒まず、去るもの追わずな態度を持つ人は、人付き合いがうまいとされている。性格の特徴を見ていこう。
■執着しない
「去るもの追わず」に表れているように、他人に依存しないのが特徴の一つ。「来るもの拒まず、去るもの追わず」な人は、自立した人間性を持ち、他者との距離を保つ傾向がある。また一人での行動も苦にならないため、来るもの拒まずな姿勢ではあるものの、自ら積極的に話しかける性格でない人も多いだろう。
■寛大
「来るもの拒まず、去るもの追わず」な人は、他者の意見を尊重する寛大さを持つ。人間関係においては自我を通すのではなく、周囲の状況にあわせて自身の態度を変えられる柔軟な姿勢を持ち合わせる。
■人間関係のトラブルに悩まされにくい
「来るもの拒まず、去るもの追わず」な人は、寛大で、他者に依存しない姿勢を持つため男女関係なく幅広い交友関係を持つ傾向にある。
恋愛関係においては、失恋をしても気持ちの切り替えが素早く、すぐに未来への行動がとれる。一方で、執着しない様から「関心や熱意がない」「何を考えているか分からない」と捉えられてしまい、深い関係性を築きにくいのも一つの特徴だ。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部