為替介入の仕組み
今回のような円安の時に、円高の誘導するドルを売円買いの為替介入を行う場合には、外国為替資金特別会計(以下、外為特会という)にあるドルを使う。
為替介入するかどうかの判断は財務大臣が行う。財務大臣の指示を受けた日銀は、為替介入を実施する。ドル資金は外為特会の勘定であるが、実際の取引は市場を混乱させないよう、日銀がFRBに預けているドルの預け金勘定であるFRBファシリティーからドルを引き出して行う。
為替介入の財源は?
為替介入に行われる、外為特会は税金から出されているのだろうか?ドル資金は、今回の為替介入とは逆の、円高時に円安に誘導するドル買円売りを行ったときに保有しているドルからきている。
このドル資金は、2023年末で1ドル=130円で換算されたドル資金は145兆円に及ぶ。円高のときに為替介入された資金であることから、平成23年1ドル=77円のときの外為特会のドル資金が89兆円であることからすると為替レートや金利収入の影響で大きな運用益が出ている。円安だとしても大切な外貨準備であることから簡単にすべてのドルを売って儲けるということはできないが、今回為替介入で売られたドルはかなりの運用益を得たと考えられる。外為特会で得られた利益は、一部積立てられるものを除き一般会計に繰り入れられる。
一般会計とは、国や地方自治体の税収で賄われ、歳出は国民へつかわれる会計で、外為特会の利益が繰入れされれば、国民にとってもメリットとなる。
そもそも、ドル買円売りを行ったときの円はどの財源から来ているかというと、政府短期証券(以下、FBという)を発行して調達している。FBの返済は今回のような為替介入で生じた円で行われる。そのため、為替介入は国民の税金が直接使われているわけではない。
さらに、今は毎年運用収益が生じており、FB(借りている日本円の金利)とドルの金利差(ドル建て証券の金利)により2024年末に3.5兆円の運用収益が生じた。そして、2024年の一般会計に2.8兆円繰入れられ、むしろ一般会計の助けとなっている。
(参考)
日本銀行における外国為替市場介入事務の概要 : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp)
外国為替資金特別会計の外貨建資産の内訳及び運用収入の内訳等 : 財務省 (mof.go.jp)
令和5年度版特別会計ガイドブック : 財務省 (mof.go.jp)第2章特別会計の現状
文/大堀貴子