急激な円安を是正するため、8兆円規模のドル売円買い為替介入が行われた。このような大きな金額の財源は何か、税金が使われているのだろうか。
為替介入はなぜ行われたのか?
4月29日、5月2日の2回にわたって過去最大規模の8兆円の為替介入が行われた。このときの為替介入はドルを売り、円を買うという、円安を抑えるための為替介入だった。
最初の介入日の4月29日まで為替レートは1ドル160円台まで円安となっていた。4月29日の1回目の介入で一時154円台まで円高になったが再び158円近くまで円安になり、5月2日の2回目の介入で153円台まで円高になり、9日時点では155円程度となっている。
このように大規模に為替介入されたのはなぜだろうか?
2022年に入ってから、1ドル110円程度だった為替は2022年末に150円台となり、その後一時円高になるものの再び150円、2024年4月末には160円までと円安が急激に進んでいた。円安になることは、輸出企業が多い日本では企業の業績が底上げされることになるが、なぜ為替介入をしなければならないのか。
米国金利は2022年に入ってから急激に上がり、今5.5%となっている。それに対し日本はマイナス金利となっており、3月に利上げが行われたが0.077%程度となっている。現在の日米の金利差は5.423%もあり、日本円を低金利で借りて売りドル買って運用するドルキャリートレードが活発だ。日本の金利は今後も大きくは上がらないだろうから、米国金利が下がらない限りこの円安基調は変わらないだろう。そうはいっても、急激な円安は以下のようなデメリットがある。
(1)ガソリン価格が大幅に上がる。
(2)原料を輸入している食品の価格が値上がりする。
(3)円安で企業業績の見た目が良くなっても、急激な賃上げにはつながらず実質賃金が下がる。
(4)輸入する原材料価格の上昇を急激には商品価格に転嫁できず企業業績が悪化する。
したがって、急激な円安とならないよう、160円のところで抑えつけるような形で為替介入が行われた。当面は円安になったとしても160円は簡単には超えないと考えられる。