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こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。
わいせつ高校教師の退職金がゼロになった事件です。
―― 何をされたんですか?
女子生徒(高3)
「部屋に呼び出されてキスされました……30秒」
――裁判所さん、鉄槌を
裁判所
「退職金ゼロはOK!」
1914万円の退職金が吹き飛びました(山形地裁 R5.11.7)
以下、わかりやすく解説します。
※ 実際の判決を基に構成
※ 判決の本質を損なわないようフランクな会話に変換
※ 争いを一部抜粋して簡略化
登場人物
▼ わいせつ高校教師(以下「X先生」)
・勤続34年
・野球部の顧問
▼ 女子生徒(被害者)
・高校3年性
・野球部のマネージャー
どんな事件か
具体的なわいせつ行為は以下のとおりです。
【判決文より引用 】
令和4年7月9日、翌日行われる甲子園山形県大会の試合のため、鶴岡市内のホテルに野球部員とともに宿泊した際に、3年生の女子マネージャーを自らの好意を伝える目的で自室に呼び出し、肩を揉ませ、そのあと同生徒の肩を揉んだ後、後ろから抱き寄せ、振り向かせて、生徒が望んでいると勝手に解釈して唇に数秒間キスし、さらにそのあと膝の上に生徒を乗せ、ベッドに横にして、上から覆いかぶさるように約30秒間、再度、唇にキスをした
――こんなことをされて、どう思いましたか?
女子生徒
「ショックで頭が真っ白になりました……」
――そのあと、どうしましたか?
女子生徒
「X先生から『一緒にいたい』と言われたんですが部屋から出ました」
――誰かに被害を打ち明けましたか?
女子生徒
「被害直後に友人にだけ電話をかけて言いました」
―― それ以外は?ご両親には言わなかったんですか?
女子生徒
「両親や高校には打ち明けませんでした。県大会が終わる前に被害が明るみになると、野球部員に迷惑がかかると思いましたので……」
女子生徒は、被害が明るみになることで野球部が出場停止になる可能性を危惧。県大会終了後に高校と両親に相談し、事が明るみに出ました。
――高校側からの事情聴取の際、何と言いましたか?
女子生徒
「いま冷静に考えて気持ち悪いと思います。奥さんも息子さんも娘さんもいるのに最低だと思います。謝罪はしてもらわなくてもいいです、と伝えました」
退職金ゼロに
高校側は、X先生を懲戒免職処分にしたうえ、退職金をゼロにしました。1914万円をゼロにしました。
X先生は「退職金ゼロは厳しすぎる」として提訴。