1990年に入管法が改正されて以降、日本の在留資格を保有する外国人の数は、1990年の1,075,317人から2023年末には3,410,992人[1]と、急激に増加している。
また、国立社会保障・人口問題研究所によると、総人口は2020年の1億2,615万人から2070年には約3割減少し8,700万人となり、このうち10.8%を外国人が占めると推計されている[2]。
今後、外国人住民の増加に伴い、これまで以上に外国人と日本人の関わりが増えることが予測され、双方が同じ地域で安心して暮らしていくための工夫が求められるようになりそうだ。
NTTデータ経営研究所は、このような背景を踏まえ「日本人側の外国人住民との関わりに関する実態」と「今後外国人住民と関わっていくことに対する意識」について調査・分析し、地域における外国人住民との共生社会構築の可能性について考察した調査レポートを公開した。
[1]「在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表」(出入国在留管理庁)
[2]「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)
5人に1人は外国人住民と日常的な関わりを持っており、地域との関わりが深い人ほど関係を構築
日常的な外国人住民との関わりを調査したところ、3人に1人が自身の身の回りで外国人住民の増加を実感しており、5人に1人は外国人住民と日常的な関わりを持っていることが分かった。
中でも、近隣住民と親しい人や地域の活動に参加する人の方が、そうでない人に比べて、日常的に関係を構築している傾向があることがみてとれる。
図1. 地域との関わり別 外国人住民との日常的な関わりの有無
外国人住民と関わることになったきっかけは、「近隣で顔見知りから」「職場」の順に多く、「国際交流イベント」「ボランティア活動」「言語交換・語学教室」といった外国人の参加が前提としたきっかけよりも、日常生活を通じた関係構築の方が多い傾向にあることが分かった。
外国人住民の増加に伴う期待と不安
今後、日本に住む外国人が増えることについての期待として「多様性社会の実現につながる」とする回答が最も多く、不安の観点では「治安への影響」に対する回答が最も多い結果に。
外国人住民が増加することに対して「多様性社会の実現につながる」と期待している人に着目すると、地域との関わりが深い人や外国人住民との日常的な関わりがある人の方が多いことが分かった。
また、「治安への影響」に不安があると回答した人でも同様の結果であったことから、地域との関わりが深い人や外国人住民との日常的な関わりがある人の方が、期待だけでなく不安も感じている傾向にあるようだ。
図4. 地域や外国人住民との関わり別 「多様性社会の実現につながる」に対する考え
図5. 地域や外国人住民との関わり別 「治安への影響に不安がある」に対する考え