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都市部での小規模なガーデニングでも疾患予防に役立つ可能性、ヘルシンキ大学研究報告

2024.06.08

都市部でのガーデニングは小規模でも健康に有益

都市部で行う小規模なガーデニングでも、土壌が豊かであれば健康に有益である可能性が新たな研究で示唆された。

1カ月間の屋内ガーデニングによって、試験参加者の皮膚常在菌の多様性が高まり、免疫機能も増強することが確認されたという。研究グループは、「都市部の庭で作物を育てて収穫し、消費することは、人々の疾患予防に役立つ可能性がある」と述べている。ヘルシンキ大学(フィンランド)のMika Saarenpää氏らによるこの研究結果は、「Environment International」5月号に掲載された。

この研究では、都市部に居住する28人の成人に、普通のプランターを使ってエンドウ豆、インゲン豆、マスタード、レタスなどの作物を育てるガーデニングを1カ月間行ってもらった。

ただし、28人中15人(介入群)には自然由来の微生物が豊富な土、残る13人(対照群)には微生物の少ない園芸用の泥炭ベースの土が提供された。試験開始前と介入開始の1カ月後に試験参加者の皮膚常在菌と、炎症に対する反応の指標として血液中の7種類のバイオマーカー〔インターロイキン(IL)-10、TGF-β1、IL-17A、IL-1β、TNF-α、IL-6、IL-21〕を測定して比較した。

その結果、介入から1カ月後に、介入群では5つの細菌門〔Bacteroidetes(バクテロイデーテス)門、Planctomycetes(プランクトミケス)門、Proteobacteria(プロテオバクテリア)門、Cyanobacteria(シアノバクテリア)門、Verrucomicrobia(ヴェルコミクロビウム)門〕、および1つの綱〔Bacteroidia(バクテロイディア)綱〕の多様性が増加していたのに対し、対照群ではそのような変化は認められないことが明らかになった。また、介入群では免疫調節サイトカインであるIL-10やIL-17A、IL-10/IL-17A比のレベルが、対照群と比べて有意に上昇していることも確認された。

Saarenpää氏は、「都市化によって、アレルギー、喘息、自己免疫疾患などの免疫介在性の疾患が大幅に増加し、高額な医療費が発生していることを考えると、この結果の意義は大きい。都市部での生活はあまりにも『清潔』過ぎるのだ」と話している。

さらに同氏は、「都市化による微生物への曝露の減少はヒトの微生物叢に変化をもたらし、それにより免疫介在性疾患のリスクが増大することが分かっている」と説明し、「有意義で自然な人間の活動が、健康な成人の微生物叢の多様性を増加させ、同時に免疫系の調節に寄与することを実証できたのは、今回の研究が初めてだ」と強調している。

Saarenpää氏は、「ガーデニングが趣味になれば、免疫系による調節がさらに持続的に行われるようになる可能性がある」と話す。同氏はまた、「これらの結果と、免疫系の発達は小児期に最も活発であることを踏まえ、学校や親は子どもに豊かな土壌でガーデニングをさせることを検討すべきだ」との考えを示している。

Saarenpää氏は、「この研究結果は、われわれの健康が自然の多様性、特に土壌の多様性に依存していることを強調している。人間は種の一種であり、われわれの健康は他の種の多様性に依存している。都市部にもこのような多様な自然環境を設け、専用に作られた製品に頼らずとも健康に有益な微生物へ曝露するようになれば理想的だ」と話している。(HealthDay News 2024年5月28日)

Copyright (C) 2024 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160412024002915

Press Release
https://www.helsinki.fi/en/news/healthier-world/urban-gardening-may-improve-human-health-research-subjects-benefitted-microbial-exposure-boosts-immune-system

構成/DIME編集部

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