性交渉はない。しかし、恋愛と性欲は別々に存在する
多くの方に門戸を開いたカラーズだが、そこには入会できない人もいる。
それは「異性と性行為ができる」という人。
あくまでカラーズがサポートするのは、「性愛関係がない異性との結婚」。
しかし、いかなるLGBTQ+の方であってもすべてが性欲がないとは言えないはず。
ということは、結婚後の性行為はお互いフリーで楽しんでいるということなのか?
「男性はゲイの方が多いので、そういう可能性もあります。ただ、性欲を自分で処理するか、風俗店に行くか、体の関係だけを求めていくか、決まったパートナーを作るか、その判断は人それぞれです」
「そのことについては、結婚相手としっかり話し合いをして、2人で決められています。ただ、話し合わず「家庭に持ち込まなかったらわざわざ言わなくてもいい」という夫婦もいます。暗黙の了解という感じでしょうか」
つまりこれは、同性と性交渉をしたい気持ちがある方が異性と友情結婚した場合、パートナーと話し合った上で、外で性行為をしていることもあり得るということ。
また、友情結婚相手とは別に、恋愛関係にあって長く付き合っているゲイ・レズビアンパートナーがいる場合も稀にあるという。
それでも、世間体や子供、親、キャリアのことを考慮して「結婚」というカタチを求めている人がいる。すべては人それぞれ。各々の幸せな日常、未来のために友情結婚はあると言えよう。
日本初のマッチングビジネス。その展望とは?
日本初で唯一の友情結婚相談所はまさしく新たなビジネススタイルの一つ。ところで、海外ではすでにビジネスとして成立しているのだろうか?
「私がリサーチした限り、友情結婚相談所は海外でも存在していないと思います。中国では友情結婚の出会い系サイトなるものはいくつかありますが、中身はゲイとレズビアンの方が割り切った婚姻契約をする印象があり、カラーズの形とはちょっと違うと感じました」
「中国人でカラーズの友情結婚に興味を持たれる方は少なくないのですが、入籍だけが目的の偽装結婚目的の方を排除するために、日本国籍の方のみ対象しております。ただし、永住権があれば外国籍でも入会可となっています」
――海外で普及しない理由は?
「カミングアウトが比較的しやすい環境だったり、結婚することが当たり前ではない国ではおそらく友情結婚という発想はないんじゃないかなと思います。結婚せずに子供が授かれたり、同性結婚で養子縁組ができたり、非婚や事実婚が当たり前だったり。そのような国では色んな選択肢が可能です」
「しかし日本では未婚が増えたといっても、結婚する方がまだマジョリティですし、まだまだ結婚していない=一人前じゃないという考え方も残っています。また、結婚以外で子供を授かるという選択肢もハードルが上がります」
「日本人は特に教育時点で、「前へならへ」方針があり、他の人と違うことがおかしいという風潮があるので、「結婚しなきゃいけない」と思い込んでいる人は多いのかなと思います」
人間同士の絆や愛、信頼関係によって結ばれる友情結婚。今までになかった安心感もある。悩みを抱えた人も少なくない。ならばそれは、ビジネスとしてどう成長していくのだろうか?中村代表はこう語る。
「もともと、ビジネスとして確立できるという自信は実はそこまでありませんでした。友情結婚の需要があることはわかっていましたが、まだ誰もやっていないこと=可能性はあるという考えと、ビジネスにならないから誰も手を出していないという両方の思いがありました。案の定、最初は色んな人に相談をしましたが、「ボランティアでやるの?」「利益がでるとは思えない」のような言葉が多かったです」
「ただ、私はビジネスをするなら誰もやっていないことにこだわっていたので、成功するかは賭けですが、成功できるような形にしていこう!という意気込みで取り組んでいます」
「このビジネスを始めるきっかけにもなった、ゲイのケンとの出会いはとても大きかったです。ケンは実際に友情結婚をした経験者。彼が婚活中に抱いた不満や希望を具現化してサービスに落とし込んでいき、ビジネスとしての形が見えてきたような気がします」
――今後、カラーズが目指すものとは?
「カラーズはセクシュアリティに関係なく『誰もが希望するライフスタイルを獲得できる世の中』を目指し、友情結婚専門の結婚相談所を提供しています。最近では、『フレマ+』というアプリをしリリースしました。友情結婚という選択肢以外に、性的関係を持たない生涯のパートナーを見つけるための新たなマッチングアプリとして広めていきたいと計画しています」
「友情結婚は恋愛結婚に違和感を感じる方への一つの選択肢です。その他の選択肢も提案できるように新たなサービスを展開していきたいと考えています」
取材協力
友情結婚相談所カラーズ
文/太田ポーシャ