超高齢社会を背景に需要が高まる「終活」に関するサービスを提供する鎌倉新書では、同社が運営する相続情報サイト「いい相続」において「第2回 相続手続きに関する実態調査(2024年)」を実施。先日、調査結果を発表した。
本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。
相続財産の総額は「1000万円未満」
相続財産の総額についての質問では、「1000万円未満」が42.0%で最多、次いで「1000万円以上~2000万円未満」が14.6%、「2,000万円以上~3000万円未満」が12.7%と続き、前回調査と比較すると同水準の調査結果となった。
ただ、相続人の居住地が1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の場合、「1000万円未満」が最多ではあるものの、割合は28.4%と全国平均より13.6%減り、次いで「2000万円以上~3000万円未満」が20.9%、「1000万円以上~2000万円未満」が14.2%と続き、全国平均の2位と3位が入れ替わる結果となった。
また、相続財産の全国平均額は約2586万円であるのに対して、1都3県では約2997万円となり、全国平均額を約14%上回った。
相続する財産の内容の回答数は、「土地・建物」が84.4%、「現金・預貯金」が66.7%、次いで「生命保険」が25.7%、「有価証券・投資信託などの金融商品」が19.2%となった。
これに関しても1都3県では「現金・預貯金」が79.1%、「土地・建物」が77.7%と、全国とは1位2位が逆転する結果となり、都心部の方が現金として財産を残す傾向が見られる。
■相続人は「子」が最多、次いで「配偶者」「兄弟・姉妹」の順に
相続人が「子」であるとの回答が82.0%で最多となり、次いで「配偶者」が32.6%、「兄弟・姉妹」が8.6%となった。こちらの結果は、前回の調査結果と同水準で変化は見られなかった。
■相続手続きにかかった費用は「30万円未満」が過半数、平均費用は34.7万円
手続きにかかった費用は、過半数である56.5%が「30万円未満」と回答。次いで「30万円~60万円未満」が27.3%、「60万円~90万円未満」「90万円以上」が8.1%となった。
また、専門家に依頼した手続きの内容について、手続きにかかった費用が「30万円未満」と「30万円以上」のひとに分けて比較すると、専門家に依頼した項目のうち「相続税申告」については、「30万円未満」では8.8%であるのに対し、「30万円以上」では40.0%が依頼しており、約4.5倍もの差があった。
さらに、相続税申告に関係が深い「財産目録の作成」についても「30万円未満」では22.0%のところ、「30万円以上」では45.7%と、約2倍もの差があり、このことから相続税に関する依頼については、費用が高くなる傾向にあるようだ。
相続手続きで大変だったことは何か、との質問への回答では「何をどう進めるべきかを理解するための情報収集」が最多で58.0%、次いで「必要な書類が多かったこと」が52.5%、「手続きのために時間が取られたこと」が40.0%という順に。
年代別に見ても前述の1位から3位は同じだが、4位以降については違いが見られた。
30〜40代は「金銭的な負担が発生したこと」が40%台、70代は「相続人同士の連絡・同意を得ること」が45.8%、80代は「手続き先が複数あること」が50.0%で、年代別に大変さを感じるポイントが異なっている。