犬用の食べる予防薬でトコジラミへの効果は40~80%
――わが家ではすでに予防薬として食べるノミ・ダニ予防薬を使っていますが、トコジラミにも効くのでしょうか?
岡田先生 飼い主さんからはそういった質問を受けたことが無かったのですが、私がたまたま見ていた資料に、そういう内容が載っていたものがありました。調べてみると、フィラリア・ノミ・マダニを予防する合剤のお薬の一つでは、犬では薬を食べさせる、猫では薬をつけて、通常通りの予防をしておくと、その後に吸血したトコジラミを弱らせた、という2021年に発表された論文がありました。
ただし、ノミやマダニのように即効性は見られず、効果も40~80%という記載で不安定なようです。この論文では、愛犬のノミ・マダニ・フィラリア予防をこの合剤でやっておけば、トコジラミも増えにくくなるかもしれず、もしかしたら役に立つことになるかもしれない、と考察されていました。
ペットのトコジラミ対策は人が持ち込まないのが原則
――では、普通のノミ・ダニ対策をきちんとしておけば、トコジラミなど他の害虫対策にもつながるということですね?
岡田先生 その可能性がまあまあある、とういうことです。
――家庭ではこうした駆除薬の他にどんな対策がありますか?
岡田先生 トコジラミは、人間が室内に持ち込むケースが基本です。外出先の宿でスーツケースやカバンなどに潜り込んでしまったのを自宅内に持ち込んでしまったり、最近は海外からの通販の入れ物や商品の中から出てくることもあるそうです。
そういった宿泊施設や海外からの荷物などから侵入するので、まずは持ち込まない工夫を徹底するのと、宿泊先や外出先をよく選別する、宿泊先に着いたら部屋の中を確認する、などもありますね。ちょっと注意するだけでヒトもペットも害虫予防ができます。
――最後にアドバイスをお願いします。
岡田先生 DIME本誌の五箇公一先生の記事も、是非読んでください。野生動物との距離も大事ですし、狂犬病予防注射なども忘れずに必ず実施してほしいです。動物と一緒に楽しく過ごすために、お手入れや予防薬などは忘れずにやっておきましょうね。
――ありがとうございました!
人にもペットにも不快な害虫対策。この夏を快適に過ごすためにも、ぜひ今から対策しておきたい。
注1:参照 横浜市:ゴケグモに注意
注2:参照 横浜市、生活上の被害対策
取材協力/岡田響さん(ひびき動物病院院長)
神奈川県横浜市磯子区洋光台6丁目2−17 南洋光ビル1F
http://www.hibiki-ah.com/
文/柿川鮎子