お宝ザクザク!?地底に眠る太古の昔を呼び覚ませ
一般的な博物館で最初に目にすることが多いのは地域の地形図。現代の地形に基づいたものから数万年前の地形を再現したものなど様々ですが、特に地下資源豊富な地域の地学展示は見応えたっぷり。
その市場価値に目玉が飛び出そうになる大きな翡翠や水晶の原石は、いつまでも見つめていられる美しさだし、大きな恐竜の骨格標本も大迫力!
貝や植物の化石は今でもよく見かける種類のものも多くて、お腹がすいているときは「このあとお寿司食べに行こうか」ってなるほどリアル。場所によっては鉱物採集や化石採集体験ができるところもあったりします。
特に岐阜や埼玉は『海なし県』と揶揄されることが多いですが、実は太古の昔ここは海だったんだよ!という痕跡がいくつも見つかっており、それを知った僕の脳内では『元海県』という単語が爆誕しました。そんな思いもよらない発見があるのも地学展示ならではです。
そして地学展示の近くには自然史展示。植物や昆虫、動物の標本や剥製が並び、まるで動植物園に来ているみたいで癒やされること間違いなし(感じ方には個人差があります)。
鳥取県立博物館(鳥取県鳥取市)
原始時代にタイムスリップ!地味にすごい先史の人びと
考古好きとしてはメインディッシュと言ってもいい歴史展示。地域によって見つかる遺跡の時代はそれぞれ違いがありますが、旧石器時代から始まり縄文時代と続く過程はまるでキャンプ生活みたい!
洞窟で雨露を凌ぎ、石や動物の骨を削って狩りの道具を作ったり。あくまでも見つかった遺物から想像した暮らしぶりだけど、実際に旧石器時代の人々が落としていった本物の石器を目の前にすると、まるでその様子が目に浮かんでくるようでワクワクするし、これなら自分でも作れるかもなんて思ってしまう。
長野市立博物館(長野県長野市)
縄文時代になると火を自由自在に扱えるようになったのか、一気に手先が器用になってないか?
石器もより精密に、土器で調理もしている感じ。そう、土器が誕生したんですよ!
最初はすごい簡素な形なのに、年代が進むと共にだんだんデコラティブになっていくのが激エモ!
しかも当然だけど全部手作りのオリジナルなので、たまに下手な人とかいたりして親近感が湧いちゃったりする。
そしてこの頃から神とか祈りの概念が生まれたっぽく、グラマラスな土偶やセンシティブな石棒が登場し、もし同行者が異性だった場合ちょっと気まずいかもしれない。
新潟県立歴史博物館(新潟県長岡市)
本格的に米作りメインで生活するようになった弥生時代の出土遺物で注目したいのは木製品。
これは博物館の先生が教えてくれたことだけど、米作りの道具って弥生時代のモノと現代のモノが、そっくりそのまま、1800年以上形が変わることなく引き継がれているのです!
それはつまり、弥生時代にはすでに米作りに最も適した道具を生み出すことに成功していたということで、やるじゃん弥生人って感じですね。
そして土器はシンプルかつモダンに洗練されて無印良品に売ってる感さえある。他にも銅鐸などの青銅器から大陸との交流を察したり、でもお子様な僕はミニチュア土製品がただただカワイイ。
古代出雲歴史博物館(島根県出雲市)
古墳時代はなんと言っても埴輪ですよ! 人物から動物、家や盾など古墳時代当時の様子を投影したと考えられる造形は大変重要な歴史資料で、多少のデフォルメはあれど興味深いものばかりだし、大きいものになると展示ケースに入りきれないほど。あの古墳にこんな遺物があったとは!と思うとかなり胸熱でございます。
そして銅鏡や鉄剣、アクセサリーなどのキラキラ系や窯の伝来からの須恵器爆誕など、だんだん原始時代から古代へと足早に文化や技術が移り変わっていく様子は期待と共に少し寂しさも感じる。
群馬県立歴史博物館(群馬県高崎市)
ここまで見てきた旧石器時代から古墳時代までの約3万年間を『原始』や『先史』として一区切りとする展示手法が一般的で、次は古代、中世、戦国、江戸、近代、民俗資料と進んでいくわけですが、僕は先史が大好きなのでまた古墳時代から旧石器時代にリターンして、もう一度違う目線で楽しんだりもする。
そう、博物館の展示を鑑賞する順番はおすすめルートさえあれど、どこからどういう目線で見るかは個人の自由。
全部見なくても好きなところだけたくさん見てもいいし、知識が無くても「かわいい」「おもしろい」「エモい」など心が感じるままに造形を楽しむも良し。
技術に着目して使い方を考察したり、日本が、この地域が時代と共にどのように変化していくか時間旅行のように眺めるも良し。
そして通えば通うほど観察眼が広がっていき、同じ場所なのに「こんなのあったっけ?」と前回はスルーしていた展示遺物の存在に気づいたり、同じモノでも裏側が気になったりと、実は博物館って噛めば噛むほど味わい深い場所なのです!
瀬戸蔵ミュージアム(愛知県瀬戸市)
今回はざっくり初心者目線でのミュージアムについてご紹介しましたが、全国各地の博物館は千差万別、いろんなスタイルがあります。
展示遺物の違いはもちろんですが、建物自体が貴重な指定文化財だったり、マニアックな目線で言うとトイレの違いとかミュージアムカフェのメニュー、ミュージアムショップのグッズのバリエーション、体験講座・企画展の内容などチェックする項目は無限大。
さらに学芸員の先生による展示解説のタイミングに居合わせたなら、それはもう神タイム! もっとディープな博物館沼にハマっていくことになるでしょう。
まずはぜひ住んでいる地域の博物館や資料館へ、そして次は旅先でその地域の博物館に気軽に足を運んでみてください。
何か新しい発見がきっとあなたを待っているし、その気軽な一歩が大切な文化財を次世代に繋ぐ大きな一助にもなるのです。
文/古墳王子
愛知県在住の現役高校生。小学4年生で古墳の魅力に目覚め、西は鹿児島から東は宮城まで延べ3000基以上の古墳を巡りSNSで情報発信中。古墳だけでなく縄文や弥生時代にも目を向け、日々各地の博物館に出没し先史古代の珍しい逸品を探しています。
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