【AJの読み】月面探査ミッションをバックアップするタイヤ開発に鳥取砂丘が貢献
ブリヂストンが行っている月面走行車タイヤ開発は、日本やヨーロッパ諸国、オーストラリア、インド、韓国、UAEなど34カ国が参加する、アメリカ主導の国際月面探査計画「アルテミス計画」を見据えたものだ。
日本はJAXAとトヨタなどが月面を走れる車「有人与圧ローバ」の開発を進めており、現在開発中のタイヤは与圧ローバの車体を支える役割を担う。月面探査車による活動は2029年を予定しており、実装に向けて研究・開発が進行中というのが現在の状況だ。
そのための実証実験の場として、企業や大学の研究機関に活用されているのが、鳥取砂丘のルナテラス。鳥取県では、ルナテラスを軸にした月面探査や宇宙ビジネスの拠点を目指している。走行試験公開イベントでは、鳥取県の平井伸治知事も訪れた。
「鳥取砂丘は10万年かけて出来上がった、石川啄木の『一握の砂』にある『さらさらと握れば指のあひだより落つ』を彷彿とさせる非常に細かい砂です。
月面にはレゴリスという細かい砂に覆われていますが、これと同じような砂を日本中探してもなかなかありません。だからこそ、レゴリスに似ている鳥取砂丘の砂には価値があり、様々な企業や研究機関から注目していただくようになりました。
ブリヂストンさんは、これから実用化を目指す空気を入れない月面探査車用のタイヤを開発されており、ルナテラスでの実証実験を活用いただくことで、新しいタイヤが生まれて人類が宇宙へ行くその足となることに期待しています」(平井知事)
取材・文/阿部純子