世界の多くの大手企業に選ばれているグローバル決済プラットフォームを提供するAdyenはこのほど、2024年1月から2月にかけ、全世界26の国と地域の企業や消費者を対象に、顧客体験とデジタルテクノロジー投資などに関する国際調査を実施した。
調査の結果、約4割の消費者が小売企業に対して、実店舗での買い物をスピーディーに行うためにテクノロジーを利用することを望み、2割が企業のセキュリティー対策を注視していることがわかった。詳細は以下の通り。
消費者4割がスピーディーな決済体験を希望
今回の調査は、小売企業がどうすれば顧客体験とビジネス効率の完璧なバランスを見いだせるかを明らかにするため、全世界26カ国・地域の1万3000社を超える企業や約3万8000人の消費者を対象に実施した。このうち、日本からは503社の企業、2006人の消費者が調査に参加した。
調査によると、37%の消費者(日本)が小売企業に対して、実店舗での買い物をスピーディーに行うためにテクノロジーを利用することを望んでおり、55%がセルフレジを増やすことを望んでいる。
一方、接客を効率化するためにセルフレジを導入している企業はわずか15%で、モバイルPOS(mPOS)を導入している企業も17%にとどまるなど、企業の環境整備が顧客需要に追いついていないことがわかった。オンライン決済体験についても十分な水準とは言えず、ワンクリック決済に対応している小売企業はわずか19%となった。
オムニチャネルの先にある「ユニファイドコマース」については、オンラインで購入した商品を実店舗でも返品したいと考えている人の割合が35%と一定の顧客需要があると見受けられる。また、ユニファイドコマースを導入した企業の29%は前年を上回る収益成長を記録したと回答し、54%が顧客のロイヤルティーが向上したと報告しており、ユニファイドコマースが企業活動にプラスに働いている傾向があることもわかった。
さらに本調査では不正利用の影響などについて調査した。
4分の1の消費者が「10年前よりも現在のほうが、決済の不正利用の懸念から買い物をするのが危険だと感じている」(24%)、「よりセキュリティー対策を充実している店で買い物をすることを選ぶ」(20%)と回答している。
このように不正利用が大幅に増加しているにもかかわらず、効果的な不正利用防止対策システムを導入していると回答した日本の企業は約半数(49%)に過ぎず、昨年時点で64%の企業が導入していると回答している世界平均と比較して差がある。
チャージバックについては、約半数(48%)が、不正利用とチャージバックによる損害が自社に大きなコストであると回答しており、急成長にはビジネスと顧客を保護する適切なテクノロジーの導入などが必要であるとの認識を示した。自社と顧客の双方を守るため、増大する不正利用の脅威への対策を積極的に模索しており、約5割(46%)が、チャージバック責任保証を提供する決済プロバイダーへの変更を積極的に検討している。
Adyenアジア太平洋地域社長のウォーレン・ハヤシ(Warren Hayashi)氏は、次のように述べている。
「不正利用は小売業界にとって深刻な問題であり、今回の調査結果は、不正利用が利益に重大な影響を及ぼしている可能性を示しています。したがって、企業と顧客を保護するためには、適切な防御メカニズムへの投資を優先することが極めて重要です。
不正利用対策は、ビジネスモデルや販売プラットフォームに応じて戦略を立てる必要があるため、単一の解決策というものはありません。機械学習ツールのようなテクノロジーを導入することで、小売業者は本物の顧客を認識し、販売チャネル全体で不正利用を発見できるようになるはずです。
機械学習はグローバルなデータセットの分析に役立つため、新たな不正利用を常に把握し、ビジネスをリアルタイムに確実に保護することができます。Adyenでは、高度なテクノロジーとカスタマイズ可能なリスクルールを組み合わせることで、不正利用をブロックし、トラブルを未然に防ぎ、最新の不正利用トレンドを先取りすることで、小売業を支援しています」
<Adyen Retail Report Japan 2024について>
●消費者調査
調査期間:2024年1月15日~2024年1月29日
回答者:26の国と地域の成人38,151人。うち日本は2006人
※対象とした国と地域は以下の通り
イギリス、日本、フランス、アメリカ、ブラジル、ポルトガル、ポーランド、イタリア、ドイツ、オーストラリア、スペイン、オランダ、スウェーデン、カナダ、メキシコ、シンガポール、マレーシア、香港、インド、オーストリア、スイス、ベルギー、ノルウェー、デンマーク、アラブ首長国連邦、中国
●加盟店調査
調査期間:2024年1月15日~2024年2月1日
回答者:26の国と地域の13,177の小売企業。うち日本では503の小売企業
※対象とした国と地域は以下の通り
イギリス、日本、フランス、アメリカ、ブラジル、ポルトガル、ポーランド、イタリア、ドイツ、オーストラリア、スペイン、オランダ、スウェーデン、カナダ、メキシコ、シンガポール、マレーシア、香港、インド、オーストリア、スイス、ベルギー、ノルウェー、デンマーク、アラブ首長国連邦、中国
出典:Adyen
構成/こじへい