AM、FM、短波放送のラジオをインターネット経由で聴取できるサービスradiko。サービス開始から14年。音声メディアがより一層多様化していくであろう時代に、radikoが目指す方向を代表・青木貴博さんに聞いた。
「目指すのは音声メディアを包括するインターフェイス」
radiko
代表取締役社長
青木貴博さん
radiko設立前の準備組織「IPサイマルラジオ協議会」発足当時からラジオのインターネット配信事業に関わる。2010年、電通よりradikoへ出向し、2017年より現職に就任した。
ラジオ番組の送信から音声メディア配信へ進化
2010年にサービスが始まったradiko。ラジオの電波が届きづらい場所でもラジオを聴きやすくするのが目的だったが、当時はガラケーからスマホへ移行が進んでいた時期。ラジオの受信機を買わなくてもスマホで聴けるようになったことでスマホで放送を聴くスタイルが定着する。
「〝ラジオを聴きやすくする〟ツールとして作られたので、北海道で接続した時は北海道のラジオ局、福岡県なら福岡県のラジオ局と、ラジオ放送に準じて番組配信のエリアを区切っていました。また、番組もリアルタイムで放送されているものだけを聴くことができるものでした。ですが、ユーザーから『全国の放送が聴きたい』『リアルタイムだと聴き逃してしまう』といった意見が多かったのです。そこで2014年に有料会員制度を作って、会員なら全国どこの放送局でも聴くことができる『エリアフリー』、2016年に過去1週間の放送を聴ける『タイムフリー』を始めました」
エリア限定、時間限定という放送のスタイルだったラジオ番組は、
いつでもどこにいても聴くことが可能なインターネット音声メディアへと進化したのだ。
有料サービス「radiko プレミアム」の会員登録数
ラジオが常に一定の新規のファンを獲得しているメディアだからなのか、年10万人ペースで確実に登録者が増え続けている。
収益性の問題をどう解決していくか
今、日本の音声メディアは収益性という問題を抱えている。
「エリアフリーで自分の住んでいない地方の番組を聴いて、その地域の企業や商品のCMを耳にして
も広告効果は薄い。そこで『radiko audio Ad』という広告システムを開発しました。これはradikoで放送を聴いた場合、各ラジオ局のCMの時間に放送とは別のCMを流すというもの。年齢、性別によって流すCMを変えることができるので、宣伝効果が上がります」
そして、こんな取り組みも。
「各局と連携して、ラジオ局のポッドキャスト番組をradikoからも配信できるように。さらにradikoから配信されるラジオ番組、ポットキャストプログラムに企業が協賛できるシステムを作りました」
YouTubeは広告収入を動画配信者に分配しているが、そんな分配システムがradikoとラジオ局の間に生まれるかもしれない。
ターゲティング音声広告「radiko audio Ad」とは?
各放送局のCMの時間にradikoが独自のCMを流すシステム。流すCMは聴いている時間、聴く人の年代などに合わせてシステムが自動で判断する。