2024年、放送開始57年目を迎えた『オールナイトニッポン』。国民的深夜ラジオとして半世紀以上愛され、最近では大規模な番組イベントを次々と成功させている。その舞台裏をについて仕掛け人に話を伺うとともに、ここ数年、同番組の人気を確かなものにしてきたという人気アーティストのパーソナリティーについても振り返る。
ニッポン放送
コンテンツプロデュースルーム長
冨山雄一さん
『オールナイトニッポン』の名物プロデューサー。2016年にイベントの部署へ異動。「岡村隆史のオールナイトニッポン歌謡祭」などの運営に携わってきた。2018年より現職。
〝究極の内輪ノリ〟こそリスナーの熱量を高める秘訣
番組イベントが毎年のように行なわれるようになったのは、ナインティナイン岡村隆史さんの番組がきっかけだと冨山さんは語る。
「2014年に『ナインティナインのオールナイトニッポン』が20周年のタイミングで矢部さんが卒業し、岡村さん1人になりました。そのタイミングで、当時のディレクターと岡村さんが話をして『リスナーと直接会う機会を設けたい』となったそうです。そこで開催したのが、2015年のイベントです。その時は約8000人のリスナーが、横浜アリーナに集まってくれました。とにかく盛り上がり方が尋常じゃなくて。僕が普段足を運ぶライブとは、熱量が異次元のものだったんです」
ラジオは基本、1人で聴くことが多いメディア。普段は誰かと話題を共有しにくい番組への思いが、イベントというかたちで集まると、とんでもない熱量になる……。そのことが原体験となり、冨山さんはこれまでに数々の番組イベントを手がけてきたという。
テレビ局の会社員ながら異例の番組起用となった佐久間宣行さんのイベントを筆頭に、ここ十年ほどで行なわれている企画は、どれもチケットが争奪戦になるほどの盛況ぶりだ。なぜ次々と成功させることができているのか?
「『radiko』の存在が大きいです。若い人たちがラジオ受信機を持っていない状況から、1人1台を所有するスマホの『radiko』アプリで、いつでもラジオ番組を聴ける状況が生まれました。また、1週間以内だとさかのぼって番組を聴くことができるタイムフリー機能や、ポッドキャスト配信などでラジオ番組との接点が増えたことにより、リスナーの数が激増しています。そのため、以前よりもイベントに挑戦しやすくなりました」
イベントに向けてTシャツやステッカーを作るなど、リスナーが喜ぶ企画も積極的に行なっており、開催当日への盛り上がりを過熱させる施策に余念はない。
「今後ラジオを活性化させるには、朝起きたら何気なくチェックするYouTubeやInstagramのように『radiko』をもっと日常的に利用してもらうことが必要。そのためには放送局同士で手を取り合い、盛り上げることも必要だと思います」
エポックメイキングだった番組関連イベント
岡村隆史のオールナイトニッポン
歌謡祭in横浜アリーナ(2015年11月)
『岡村隆史のオールナイトニッポン』の1周年記念イベントとして開催。特別ゲストの知念里奈さんが出演し、番組内でたびたび流されていた『DO-DO FOR ME』を熱唱。〝神曲〟の登場で、大きな盛り上がりに!
オードリーのオールナイトニッポン
10周年全国ツアーin日本武道館(2019年3月)
『オードリーのオールナイトニッポン』の10周年を記念して開催。来場者は1万2000人、全国開催のライブビューイング観客が1万人の、計2万2000人を動員する。名物コーナーや伝説の漫才披露などが大盛況だった。
佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)
リスナー感謝祭 2019(本多劇場)(2019年10月)
『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』のリスナー感謝イベントとして開催。わずか380人のキャパに1万通を超える観覧希望が殺到。TV番組『ゴッドタン』の盟友・おぎやはぎ小木さんがシークレットゲストで登場した。