近年「リカレント教育」が盛んにいわれ、その学び直しの場として大学や大学院が改めて注目されています。この4月、関東地方の国立大学院を卒業した大川澄子さん(仮名)は現在62歳。入学試験や学費の準備から2年間の学生生活の良かったこと・大変だったことまで、大人の学びのリアルを話してくれました。
(画像はイメージ)
大学院入学は意外と簡単。受験対策も立てられる
大川さんは、教育関係の企業を定年退職する前から、再雇用で会社にとどまるのではなく大学院に進もうと準備していたといいます。
「仕事で大学に行くたびに、アカデミックな空気にふれていいなと思っていました。
自分の学生時代は入学することがゴールで、勉強した記憶がなかったから、やり直してみたいと」
日本語教育に接していたこともあって、日本に住む外国人の日本語支援ができたらと考えて専門を選びました。
調べてみると、入学試験はそれほど難しくないことがわかりました。昨今、大学院に入るのはそれほど大変ではないといわれています。
例えばお茶の水女子大学大学院が、英検準1級を持っていれば英語の試験の受験は必要ないことがわかり、大川さんは、いいなと思ったそうです。
他にも明治大学大学院商学研究科は、シニアのための入学試験として入学時に60才以上である受験者を対象とした制度を、大学院ではありませんが広島大学のように中高年を対象とした入学制度を設けているところもあります。
大学・大学院検索サイトには「高齢者が入学しやすい大学」という特集まで存在し、学べる内容や通信・通学の情報も掲載されています。大川さんは、自分の条件に合うところを探すことができる時代だと言います。
「少子化の中、大学院は学生が欲しい。ところが大学院卒は就職の間口が狭まるから、日本の学生には人気がない。だから、留学生と高年齢者に来てほしいってことになるんでしょう。
私みたいな50才以上もたくさんいるから、先生たちも慣れているようでした」
大川さんが選んだ大学院の筆記試験は、専門科目の日本語教育と英語。
「専門科目は『これについて説明せよ』というようなもの。その大学院の先生が何を研究しているかによって出題は限られるから、対策は立てられます。ネットで過去問を調べたし、古いものは大学の図書館に行って見せてもらいました」
「一番聞かれたのは、なにを研究したいかでした。つまり、その人が研究したいことを指導できるかどうかを面接で見ているわけですね。先生たちは全員年下でしたけど(笑い)」
1年の前期は貪欲に週5回通学! 学部の授業もほぼ聞き放題
講義は1コマ100分。大川さんは1年の時は月曜から金曜まで毎日学校に行って、2~4コマを受講していたといいます。
「面白そうだと思ったものは、できるだけ取りました。大学院の授業以外にも、自分の専門に関係する学部の授業も受けた。だって授業料を払ったら、ほぼ聞き放題なわけですから。例えば、ドイツ語だってフランス語だって、授業料の中で勉強できるわけで。語学学校よりお得。すごく貪欲になりました。遊んでなんぼだった大学時代とは全然違いましたね。
2年目の後期になると、大学に行くのは週2ぐらい。ゼミだけになりました。ゼミでフィールド研究というのがあって、それは実地なんです。私はボランティアで日本語を教えに行っていました」