3. 【費用】相続手続きにかかった費用は、過半数が「30万円未満」と回答。平均費用は34.7万円
手続きにかかった費用は、過半数である56.5%が「30万円未満」と回答している。次いで「30万円~60万円未満」が27.3%、「60万円~90万円未満」「90万円以上」が8.1%となった。
また、専門家に依頼した手続きの内容について、手続きにかかった費用が「30万円未満」と「30万円以上」の人に分けて比較すると、専門家に依頼した項目のうち「相続税申告」については、「30万円未満」では8.8%であるのに対し、「30万円以上」では40.0%が依頼しており、約4.5倍もの差があった。
さらに、相続税申告に関係が深い「財産目録の作成」についても「30万円未満」では22.0%のところ、「30万円以上」では45.7%と、約2倍もの差があり、このことから相続税に関する依頼については、費用が高くなる傾向にあるようだ。
相続手続きで大変だったことは何か、との質問への回答では「何をどう進めるべきかを理解するための情報収集」が最多で58.0%、次いで「必要な書類が多かったこと」が52.5%、「手続きのために時間が取られたこと」が40.0%となった。
年代別に見ても前述の1位から3位は同じだったが、4位以降については違いが見られた。30代、40代は「金銭的な負担が発生したこと」が40%台、70代は「相続人同士の連絡・同意を得ること」が45.8%、80代は「手続き先が複数あること」が50.0%で、年代別に大変さを感じるポイントが異なることがわかった。
4. 【相続登記】およそ7割が相続登記の義務化について「知っていた」と回答
相続登記の義務化とは、2024年4月1日から施行される「民法等の一部を改正する法律」に基づくものだ。この法律の改正により、相続によって不動産の所有権を取得した場合、その所有権を登記することが義務化される制度だ。
従来、相続を原因とする登記は任意だったが、相続登記が行われないまま放置された不動産が増加し、所有者不明の土地問題が深刻化していることより、これを解消し、不動産登記の正確性を高めるために相続登記の義務化された。義務化により、不動産の所有者や持分が明確化され、不動産の正確な管理が促進されることが期待されている。
具体的には、不動産の所有者が亡くなった場合、相続人はその所有権の取得を知った日から3年以内に相続人等の権利者が所有権移転登記を申請することが義務付けられる。この期間内に登記申請を行わないと、正当な理由がない場合は過料が発生する可能性がある。
この相続登記の義務化について、知っていたかどうかの質問では73.1%が「知っていた」と回答し、相続登記手続きに関わる人には一定の認知が広がっていることがわかった。
次に、昨年中に相続登記手続きを開始した人のうち、相続が発生してから3年以上経過していた人の割合は23.3%、10年以上相続手続きをしていなかった人は9.9%と全体の約1割を占めていた。なお、最も古い人で80年前の相続手続きに着手した人もいた。