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未来のテレビを先取り!最先端の放送技術を体験できる「NHK技研公開」「NHK Tech EXPO」の見どころ

2024.05.27

日々全国に様々なニュースやドラマなどの番組放送を行っているNHK。

放送・サービスを確実に実施し、さらに充実したものにするために放送センター内の各部局や放送技術研究所、全国の放送局などの技術職員が業務に携わっている。そこではどんな技術が駆使されているのか、気になったことはないだろうか。

NHKでは5月の最終週をNHK技術ウィークとして「NHK技研公開」と「NHK Tech EXPO」を開催。今年は「NHK技研公開2024」を2024年5月30日から6月2日、「NHK Tech EXPO」を5月27日から5月29日に開催する。

今回どのような展示発表が行なわれるのかが明らかになった。

放送メディアの技術の進化と深化を公開する「NHK技研公開2024」

NHK技術研究所、通称・NHK技研は、ラジオ・テレビジョンの研究を行なうためにラジオ放送開始から5年後の1930年に設立。NHK内の1つの部署であり、放送技術の研究に関することに取り組んでいる組織だ。

放送法第20条1項第3号にも「放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究を行うこと」と規定された役割を担っている。2024年現在は職員が約210名、そのうち研究員が約180人で構成されている。

例年開催されている本展示だが、2024年度は「技術で拓くメディアのシンカ」をテーマに、技研が目指す「FutureVision2030-2040(2024年度版)」の3つの重点領域や、放送における課題解決、メディアを支えるための研究成果などを29項目の展示で紹介する。

「NHK技研公開2024」のポスター

NHK放送技術研究所 研究企画部 副部長の相原聡氏によると、技研公開の始まりは技研17年目のこと。1947年6月に初めての試みとして、研究室を一般に公開したことからだという。2023年度は約9000名が来場した。

2023年度の会場の様子

ちょっと先の「未来のテレビで使われる技術」を先取り体験

「技研公開」の展示では、すでに活用が始まっている技術のほか、さらに未来の放送をもっと豊かにしていくための研究成果なども発表される。

技研では2030年から2040年頃のメディア環境を想定して、技研が目指す目標と方向性を示した「Future Vision 2030-2040」を策定。2021年6月に公表した。しかし、放送メディアを取り巻く環境やデジタル技術がこの3年間で急速に変化、発達。そこで「Future Vision 2030-2040」を2024年バージョンにアップデート。これについて語る今井亨所長による基調講演も行なわれる。この講演は後日技研のWeb上にて公開予定だ。

会場では、NHK放送技術研究所において、実現が近いものから中長期的に取り組んでいるものまで29項目の展示が行なわれる。6月1日・2日にはファミリーイベントとして、工作体験やスタンプラリーなども開催予定だ。

■ARグラス型ニュース提示システム

ARグラス越しに見えるユーザー周辺の空間に、多くのニュースを一覧して配置。記事を探索・閲覧するシステムを体験できる。

ヘッドマウントディスプレイを通した視聴イメージ

■できるかな2023

懐かしの造形番組「できるかな」をモチーフに、ボリュメトリック、3DCGを使って番組を制作。大スクリーン、ヘッドマウントディスプレイを使った視聴体験ができる。

■自由に変形できるディフォーマブルディスプレイ

2023年度の展示でも発表されたディフォーマブルディスプレイだが、その際はモノクロ映像が2024年度はカラー化を実現。柔軟で様々な形に変化できるディスプレイによる新たな視聴体験を提示する。

技研公開2024 「技術で拓ひらくメディアのシンカ」
開催期間:5月30日(木)~6月2日(日) 10:00~17:00
会場:NHK放送技術研究所 (東京都世田谷区砧1-10-11)
入場:無料・事前予約なしでOK
https://www.nhk.or.jp/strl/open2024/

NHKの職員が現場で生み出した放送技術やアイデアをお披露目する「NHK Tech EXPO」

一方の「NHK Tech EXPO」は全国で勤務するNHKの職員が日頃の業務の中で生み出した放送現場ならではのアイデアやノウハウ、創意工夫で生み出した機器や技術を紹介する、いわば現場発の展示だ。

すでに運用が始まっているものもあり、放送現場の様子を感じることもできる。東京・渋谷のNHK放送センターの正面玄関ロビーが会場となる。2023年の「NHK Tech EXPO 2023」入場者数は3日間で合計6647名が参加した。

2023年度の「NHK Tech EXPO 2023」の会場の様子

NHK メディア技術局 業務推進部 専任部長の大野広伸氏によると、開催の目的は3つある。

まずは新技術の開拓によるコンテンツの強化だ。番組担当者と技術者が意見交換を重ねながら、そのアイデアを具現化し、完成度を高めながら番組の演出の幅を広げていく。

そして一般公開を行うことで、放送を支える技術として工夫や思いを開発者本人が直接会場で説明し、来場者に放送やサービスに対する理解を深めてもらいたいという。

最後に、展示会では全国から開発者が集まるため、開発担当者同士がお互いに刺激を受け、開発のマインドを育てる。また、各々が開発した機器や取り組みを広く公開できる場があることは、若手にとってはとても励みになる。人材育成の一端も担っているのだ。

会場では「Techを体験・体感!」「よりよいコンテンツを!よりよい制作環境で!」「必要な情報を確実にお届け!」の3つのテーマでカテゴライズし、22の展示が行なわれる。展示内容一覧についてはWeb上でも公開されている。

●ARによる実寸大のMMX探査機を体感

JAXAが中心となって進めている火星衛星探査計画(MMX)で、火星衛星探査機に搭載する8Kカメラと同型モデルの試作機を紹介。

探査機に搭載される8Kカメラの試作機

NHK Tech EXPO 2024
開催期間:5月27日(月)~5月29日(水) 10:30~17:30
※最終日は17:00終了。入場は各日終了の30分前まで。
会場:NHK放送センター 正面玄関ロビー
入場:無料・事前予約なしでOK
https://www.nhk.or.jp/techexpo/2024/index.html

放送技術の進化は俯瞰して見ると大きく変化しているが、実際の体感ではなかなか認識しづらいものも多い。そう遠くない未来の放送を先取りして体験できる機会になりそうだ。

取材・文/ライター 北本祐子

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