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「精進潔斎(しょうじんけっさい)」という表現を聞いたことはありませんか。
肉食を断ち、行いを慎んで身を清めることで、神仏に関わる行為をする前の心構えとされています。
実際に何をすれば「精進潔斎」したことになるのか、また、どのようなときに実施するのかご紹介します。
精進潔斎とは?由来と意味
■読みと意味
精進潔斎とは「しょうじんけっさい」と読み、精進と潔斎の2つが組み合わさった言葉です。
精進には次の意味があります。「雑念を去り、仏道修行に専心すること」「一定の期間、行いを慎み身を清めること」「肉食を断って菜食をすること」「一つのことに精神を集中して励むこと。一生懸命に努力すること」。
また、潔斎には「法会・写経・神事などの前に、酒肉の飲食その他の行為を慎み、沐浴(もくよく)などして心身を清めること」という意味があります。類似する言葉には「斎戒(さいかい)」があり、「神聖な仕事に従う者が、飲食や行動を慎み、心身を清めること」を指します。
精進には潔斎の意味も含まれているため、「精進潔斎」とつなげても「潔斎」と一言で表現してもあまり意味は変わりません。いずれも古くからの習慣や宗教に由来する言葉として、神事や仏事を行う前に肉食を断って身を清める際に使われます。
参考:デジタル大辞泉
■言葉の由来
上記の通り、元々は「精進」と「潔斎」は別々の言葉として使われていました。
これが平安時代末期に「精進」と「潔斎」の意味が近接し、合わせて「精進潔斎」と併称されるようになりました。
精進潔斎の使い方
あまり耳馴染みのない言葉に感じる人も多くいるであろう「精進潔斎」。具体的にはどんなシーンを指して使われるのでしょうか。具体的なシーンを挙げて、例文とともに使い方を見ていきましょう。
■精進潔斎をするケース1.神仏に関わる行為をするとき
法会や写経、神事といった神仏に関わる行為をするときには、「精進潔斎」をします。どの程度の精進潔斎が求められるかは状況によっても異なるため、関連する神社や寺社に直接尋ねてみてください。
たとえば、お祭りで重要な役を果たすときには、一定期間の肉食が禁じられるかもしれません。また、仏像を製作するときなら、自発的に何ヶ月も飲食や行動を慎むこともあるでしょう。
【例文】
・祭りの大役を引き受けたからには、この1ヶ月は精進潔斎をするつもりだ。
・精進潔斎をしてから心を込めて写経をしている。
■精進潔斎をするケース2.ひたすら励むとき
「精進」には「一つのことに集中して励む」や「一生懸命努力する」という意味もあるため、ひたすら励むときに「精進潔斎」すると表現することもあります。
【例文】
・精進潔斎をして仕事に打ち込んでいる。
・彼女は友人との夜遊びを一切止め、精進潔斎をして受験勉強に取り組んだ。
精進潔斎のやり方
精進潔斎の大まかなやり方を紹介するので、ぜひ参考にしてください。ただし、やり方の細かなルールは状況や神社・寺社によっても異なるため、実際に精進潔斎が必要とされるときは神職や僧、祭りや行事の担当者などに尋ねるようにしましょう。
■神職の精進潔斎
神社で行われる祭りでは、奉仕する神職は一定期間、忌み籠り(いみごもり)をします。また、祭儀の当日は手を洗い、口をすすぎ、再度手を洗って身体を清めます。
本来は海や川で身体を清めていましたが、現在では神社内で手と口を清めることが一般的です。なお、海は清濁をあわせ飲み、本来の清浄さに戻すものとして信じられていたため、現在でも清めの儀式として塩を用いることがあります。
■信仰者の精進潔斎
個人が神社を参拝するときは、手水(ちょうず)をとることで精進潔斎の代わりにします。なお、神殿で鈴が下げられているときは、鈴を振って鳴らし、神に認知してもらいます。
その後、賽銭を捧げて、腿に添えた両手を膝まで下げて二度拝礼し、二度柏手を打ちましょう。音を鳴らすのは鈴を鳴らすのと同じで、神に認知してもらう意味が含まれています。その後、さらに一度拝礼してください。
なお、通常は二度の拝礼・二度の柏手・一度の拝礼がルールとなりますが、出雲大社では柏手を四度、伊勢の正式祭儀では八度を八回繰り返すなどのルールがあります。