日本債券ファンドの価格が値下がりしている。株高が続くなか、日本債券ファンドをポートフォリオの一部に入れてみるのはどうだろうか。
債券とは?
債券は、投資家に発行体がお金を借りることだ。発行体は、国、都道府県、市、会社があり、国が最も安全性が高い。投資家は保有している間に発行体から利息を受け取り、発行体が倒産しない限り、満期には元本が返ってくる。
債券は基本的に100%で発行され、100%で満期に返ってくる。
途中で売却するときは、100%ではなく、そのときの市況で価格が決まり、100を超えることや100を割り込み元本が割れることもある。
既に発行された債券の途中売却時の価格は、主にそのときの市中金利により価格が決まる。
既に発行された債券が金利の低いときに発行されたものならば、売却時の市中金利が高いときはその債券価格は下がり、利回りは市中金利と同じ水準となる。例えば、100で発行された年率1%の債券は、市中金利が2%なら99まで価格が下がる。この債券(1年満期とる)を途中購入する投資家は、99で購入することになり、利息を1と償還差益1(99で購入したものが満期に100で返ってくる)で、2の利益を得られるため市中金利と同じ約2%の利回りが得られる。逆に金利が高いときに発行された年率3%の債券ならば、市中金利が2%なら債券を高めに購入しても利息で2%の利回りが得られることから、債券価格は100だったものが101で取引される。101で購入した投資家は、債券の満期時▲1損するが利息を3受け取ることができるため市中金利と同じ約2%の利回りとなる。
このように、金利と債券価格はシーソーのような関係となっており、金利が上がれば債券価格は下がり、金利が下がれば債券価格が上がるようになっている。
日本債券ファンド
日本の国債、公社債等で運用されている投資信託を日本債券ファンドという。投資信託であることから価格は日々変動している。日本の債券で運用されているため、為替変動リスクはない。また、前述した金利により価格は変動するが、株式や外国債券と比較するとリスクは非常に低い。リスクとは損だけをいうのではなく、値上がり、値下がりをどのぐらいするかを表し、日本債券はリスクが非常に小さい。
(参考)GPIF基本ポートフォリオの前提条件(リスク・相関関数の設定)
PowerPoint プレゼンテーション (gpif.go.jp) を元に作成
上記で見ると、日本債券は値上がりしたとしても2%程度ではあるが、値下がりも2~4%
程度で済む。一方、国内株式は標準偏差が23.14%であることから、平均から25%近く値動きする可能性があるため、一番高いところからでは50%まで値下がりする可能性がある。
したがって、国内株式が高値圏であるような今の場合には、日本債券を資産の一部に入れて、国内株式のリスクを低減するのも一つの手であろう。
日本債券ファンドは金利はもちろんだが、以下のような外部要因で価格が値上がりすることがある。
・不景気時
・金融不安
・円高時
・利下げ局面
eMAXIS Slim国内債券インデックス【03318172】:チャート – Yahoo!ファイナンス
上記は、eMAXIS Slim国内債券インデックスの値動きだ。2019年8月に一時1ドル104.44円まで円高になったとき、さらに2020年3月新型コロナウィルスの感染拡大により1ドル101.17円まで円高になったときに、同ファンドの価格は上昇している。
今のような株高の状態がずっと続くことがないと考えると、今後上記のような要因が起こる可能性があると考えられ、今日本債券ファンドを購入するのもよいだろう。
NISAでは買えないファンドもあることに注意
日本債券ファンドは、NISA(成長投資枠)、iDeCoで購入できる。また、国内株式や外国債券等とポートフォリオを組むバランス型ファンドであれば、NISAのつみたて投資枠でも投資が可能だ。
ただし、NISAはデリバティブ取引を行っていない(リスクを減じる等の目的による取引は除く)、毎月分配型でないことが要件となっていることから、毎月分配型等、日本債券ファンドの一部にはNISAの対象となっていないものもあるため、NISA で購入する場合には対象かどうか確認のもと購入するとよいだろう。
文/大堀貴子