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お中元といった贈答品の箱に掛ける「のし紙」。
「のし」は漢字では「熨斗」と書く。書籍『なぜ日本人は「のし袋」を使うのか?』 (齋藤和胡/淡交社)によれば、日本古来のアイロンである「火熨斗(ひのし)」が語源となっているそうだ。
おめでたいとされる鮑(あわび)を薄く削いで乾かし、生乾きの段階で伸(の)して、白赤の紙に包んで伊勢神宮に奉納する神事がある。その伸す行為が、火熨斗と関連づけられて、「のし紙」という言葉が生まれた。「のし紙」の結び目の右上にある絵柄は、白赤の紙に包まれた鮑を象徴化したもので、贈る側の祝意を表しているという。
雑学はこれぐらいにして本題に入ろう。デパートなどで贈答品を購入した際は、店員がのし紙を掛けてくれるが、昨今はネット通販で買うことが増え、自ら掛ける機会が多くなった。
ダイソーでも各種サイズの「のし紙」が売られている
その「のし紙」はどこで入手するかと探してみると、なんとダイソーで売っている。サイズは、B4判、A4判、A5判、B5判の4種類。それぞれの入り数は、15枚、17枚、18枚、20枚で、いずれも110円となっている。
デザインは、蝶結びの水引が中央に、右肩に熨斗鮑が印刷された、もっとも一般的なものだ。これは、婚礼以外のお祝いに広く使える。婚礼の場合、水引は、結び目が簡単にほどけない「結び切り」でなければいけないが、それはダイソーにはなかった。
開封して見た感じは、まったく問題なく思える(中央右端に「B4」などとサイズが記載されているのが若干気になるが)。しかし、「大事な人への贈り物に、100円ショップののし紙を使っていいものだろうか」という疑問がふと浮かんだので、タカ印ののし紙と比較してみた。タカ印とは、明治27年創業の(株)ササガワの商標。同社は、慶弔・包装用品の老舗企業として知られる。A4判、100枚入りでAmazonの実際価格が636円。1枚あたり6.36円となり、ダイソーの同サイズののし紙(5.55円)よりわずかに高い。
左がダイソー、右がタカ印ののし紙
外観の違いは、タカ印は熨斗鮑が水引と一部重なっていること。こちらのほうが正統なのかどうかは、調べたが不明であった。紙質については、タカ印のほうが若干白が強く、明るく見える。
結論的には、はっきりと甲乙はつかず、「100枚あっても一生使い切れない」のであれば、ダイソーののし紙でまったく問題ないだろう。ただし、注意点が1つあって、それはサイズ。のし紙には、B4判より大きいサイズの、みの判、A3判、中杉判、大杉判があって、より大きな箱に対応できるが、ダイソーは一番大きくてB4。
このサイズは、大半のお菓子箱なら大丈夫だが、缶詰やお酒のアソートといった幅・高さが結構あるものだと厳しくなる。まずは、箱のサイズを確認してから、ダイソーでの購入の可否を決めておこう。
A4のし紙を掛けた縦26cm×幅17cmのお菓子箱(B5だと箱の天地がやや見えすぎ)
■商品詳細
商品名:のし紙 祝
価格:110円
原産国:タイ
材質:紙
商品サイズ:B4、A4、A5、B5
種類:サイズに応じて4種類
商品ページ(B4):https://jp.daisonet.com/products/4549131093209
撮影・文/鈴木拓也