■連載/阿部純子のトレンド探検隊
事前準備から後片付けまで手間を完全ゼロにした全自動ロボット掃除機
IoT・スマートホーム事業を手掛ける「SwitchBot」から、全自動給排水システムとリアルタイムモップ洗浄機能を搭載した「SwitchBotお掃除ロボットS10」(11万9820円)が新発売された。
「弊社は数年前からIoTにロボティクスの技術を合わせた『IoRT』掲げています。家事を担う人型ロボットを一家に一台導入するにはハードルが非常に高いですが、ロボットのパーツを分解して個々に製品化することで、ロボットに家事を任せる生活の実現を目標にしています。
指の代わりにボタンを押す、腕の代わりにカーテンを引く、目の代わりに見るカメラ、肌の代わりに環境を検知できるセンサーといった、人の代わりを担うIoT機器を作ってきましが、IoT機器は基本的に決まった場所に設置するというものでした。
もう一歩先の便利な生活を実現するためには、人間と同じように移動することができる製品が必要になります。そこで2022年から移動できるロボット掃除機の開発に注力してまいりました。2023年に登場した『K10+』は日本の住宅環境に最適なロボット掃除機として開発しましたが、このロボット掃除機を『再定義』して開発したのが、新製品の『SwitchBotお掃除ロボットS10』です」(以下「」内、SwitchBot Business Development Manager 北島 祥氏)
〇特長1・水道直結の水交換ステーション
充電とごみを回収するためのステーションと、水を交換するためのステーションの2つのステーション設計が大きな特長。
小型水交換ステーションは洗濯機の水道に直結することができ、水拭きをした後の汚れた水をそのまま下水道へ流すことができる。また、上水道から清潔な水を汲み上げてロボットの水ボックスの中に溜めることもでき、全自動給水・排水の洗濯機のような『全自動』操作で、ロボットへの給水や汚水を捨てる手間がかからない。
水交換ステーションは一般的な防水パンと同じくらいの高さで横幅は半分程度。上下水道があれば利用でき、ステーションへの給電はロボット本体から行われるためコンセントも不要。
設置のためのアタッチメントを付属しており工事は不要。給水ホースの取り付け→水道へ接続→排水ホースの取り付け→排水口へ接続の手順で、10分程度で取り付けることができる。上下水道のある洗濯機や洗面台、シンク付近などに設置が可能だ。別売りの外付け水タンクを接続すれば、場所を選ばず好きな場所に設置できる。
「水交換ステーションにより、今まで大型になりがちだったロボット掃除機のステーションの空間占有率を抑えることができ、かつ設置場所の自由度を大きく向上させることができました」
〇特長2・水拭きとモップ洗浄を同時に行うモップのリアルタイム洗浄
従来のロボット掃除機では、清掃が終わりステーションに戻ってから水拭き用モップの洗浄を始めるが、S10は自社開発の「RinseSync(リンスシンク)」テクノロジーにより、水拭き清掃しながら、モップのセルフクリーニングも行う。
下記動画はセルフクリーニングの様子。汚れたモップが掃除をしながら自動でクリーニングされ、タンクに汚水を溜める。
カーペットを検知すると、自動的にモップが7mmほど上がり、カーペット上はモップが上がった状態で清掃ができ、カーペットを濡らしてしまう心配もない。清掃が終了すると、水交換ステーションに戻り、さらにそこでディープクリーニングを行う。
「従来のロボット掃除機はステーションに戻るまでモップを清掃することができず、汚れたモップで汚れを広げてしまう事態が発生していました。人が拭き掃除を行うとき、掃除で汚れた雑巾で拭き続けることはなく、汚れた場合は洗って絞ってから再度拭くという作業をします。
お掃除ロボットS10は人の代わりを目指すロボットですので、手作業と同じく常にきれいな状態で水拭きを続けることができるため、清掃力において大きく進化しました。清掃全体のサイクルを最初から最後までお掃除ロボットが自動で行い、人の手による作業がまったく必要ありません」
8つの噴射口から清潔な水を噴射、SwitchBotの「RevoRoll」技術を搭載したローラーモップで10Nの圧力で汚れを吸着、モップが1分間に300回転し汚れを拭き取り、ワイパーで水拭き時の汚水の水を切り、水拭きで出た汚水は汚水タンクへ回収する、5つのステップを繰り返してしつこい汚れも除去する。掃除終了後は50℃の熱風でモップを最長3時間自動乾燥させるので、生乾きの臭いやカビ発生防止にも。
吸引力は同ブランド史上最強の6500Pa。顆粒ゴミや砂、目に見えないハウスダストや花粉も強力に除去。カーペットを検知すると、吸引力が自動で最大になる。連続稼働時間が従来機より30%アップし、大容量バッテリーで戸建てや部屋の多い間取りでも効率よく掃除ができる。
メインブラシは純正ゴム製を採用、毛が絡みにくくメンテナンスがしやすいのも特長で、ペットがいる家庭にも適している。
ごみ回収ステーションは4Lの大容量紙パックで、ごみ捨ては70日一度でOK。ローラーモップの交換は3か月に一度が目安。
目の役割をする「レーダーナビ」は360°全方位の間取りと自己位置を的確に認識、「AI障害物回避」で家具との衝突防止や、進入禁止エリア設定も可能。
また、2024年7月販売予定の「SwitchBot 気化式加湿器Plus」と連動することで、お掃除ロボットS10が加湿器へ自動給水を行なうこともできる。
【AJの読み】スマートホーム化にも寄与する人の手を介さない全自動ロボット掃除機
SwitchBotは、世界100以上の国や地域に、IoTスマートホームデバイスの企画、製造、販売を行うスマートホームブランド。従来の家具や家電を後付けでスマート化できる便利性や、自由に組み合わせできる拡張性の高さが評価され、国内のユーザーは100万世帯超え、販売累計台数は500万台を突破している。
新製品の「お掃除ロボットS10」もアプリからの操作ができ、音声アシスタントはAlexa、Google Assistant、Siri、IFTTT、SmartThingsを含めた5種類以上とつながり、スマホやスマートスピーカーからの操作もできる。
SwitchBotのスマートホームエコシステムの一部として、「SwitchBotハブ2」または「ハブミニ(Matter)」に繋げばMatter対応になり、ホームアプリから一括管理もできる。
スマートドアロック、スマート照明、自動開閉カーテン、温湿度管理、見守り・防犯カメラなど、暮らしの様々なシーンでスマートホーム業界を牽引するSwitchBot。人の手を介さない全自動の「お掃除ロボットS10」も、スマートデバイスの一つとしてスマートホーム化に寄与している。
取材・文/阿部純子