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「同じ穴の狢」という言葉を聞いたことはあっても、言葉の意味や由来はよく知らないという方もいるのではないでしょうか。そもそも、狢がどういうものかわからないかもしれません。
本記事では「同じ穴の狢」の意味や言葉の由来、例文などを解説します。
同じ穴の狢とは?
「同じ穴の狢(おなじあなのむじな)」とは、一見すると別なものにみえるが、実際は同類であるという意味です。主に人に対して使われます。
ここでは、「同じ穴の狢」の意味や由来を解説します。
参考:デジタル大辞泉
■言葉の由来
同じ穴の狢の「狢」はアナグマのことで、穴を掘って暮らす習性があります。アナグマが堀った穴に、タヌキなどの別の種類の動物が使うこともあることから、「同じ穴の狢」ということわざが生まれました。
また、タヌキが人を化かす動物であるという伝承があり、動物たちが悪事をたくらんでいる様子を表しているという説もあります。
■悪事を働く者に対して使う
同じ穴の狢は、主に悪事を働く人に対して使われる言葉です。悪いことでつながっている人たちというネガティブな意味を持ち、人を非難したり、揶揄したりする際に使われます。そのため、使う場面には十分注意しなければなりません。
ただ似ているというだけで「同じ穴の狢」という表現を使うのは避け、別の言い方をするほうがよいでしょう。
同じ穴の狢の例文
同じ穴の狢を正しく使うために、例文をいくつか確認しておきましょう。
・派閥が異なって対立しているように見えても、政治家は皆同じ穴の狢だ
・彼はいつも上司のことを悪く言っているが、周りから見ているとどちらも似た者同士で、同じ穴の狢といえる
・いじめに関わっていなくても見て見ぬふりをしていては、同じ穴の狢といわれても仕方がない
・いろいろ悪い噂の絶えない彼とは同じ穴の狢といわれたくないため、距離を置くことにした
・欠陥製品を販売したという点では、メーカーも販売店も同じ穴の狢だろう
・どんなに人を批判しても、陰で悪いことをしていれば同じ穴の狢にすぎない
・AさんもBさんも、やり方は違っても結局自分が得することしか考えてない。2人は同じ穴の狢といえる
・マスコミは正義者ぶってCさんを批判しているが、面白おかしく大衆を煽っている点で同じ穴の狢だろう
・彼は一見すると真面目そうだが、素行の悪いDさんと付き合っているのをみると同じ穴の狢なのかと疑いたくなる
同じ穴の狢の類義語
同じ穴の狢には、よく似た言葉があります。
主に、次のようなことわざです。
・五十歩百歩
・どんぐりの背比べ
・目くそ鼻くそを笑う
それぞれ、詳しくみていきましょう。
■五十歩百歩
五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)とは、多少の違いはあっても、本質的には同じであるという意味です。戦闘で50歩逃げた者が100歩逃げた者を臆病だと笑ったという中国の故事を由来にしています。
50歩でも100歩でも逃げたことには変わりはなく、周りからみれば単なる誤差にすぎないということを表しています。
【例文】
・5分遅れても30分の遅れでも遅刻したことに変わりはなく、五十歩百歩だ
・彼は人の成績が悪いことを笑っているが、クラス全体で見れば2人とも五十歩百歩といえる
■どんぐりの背比べ
どんぐりの背比べとは、どれも代わり映えせず平凡で、特に優れて目立つものがないという意味です。どんぐりはどれも同じような大きさで、高さを比べても意味がないことを例えにしています。
どちらも変わらないという意味で同じ穴の狢と似た言葉ですが、どんぐりの背比べは悪いものにだけ使うわけではなく、ニュアンスはやや異なります。
善悪とはあまり関わりなく、レベルの低いもの同士を比較して、どちらも差がないことを指摘するときに使う言葉です。
【例文】
・彼らはお互いに負けてはならないと頑張っているが、側からはどんぐりの背比べにしかみえない
・オーディションに集まった人たちは誰もあまりパッとせず、どんぐりの背比べで選びようがない
■目くそ鼻くそを笑う
目くそ鼻くそを笑うとは、自分の欠点には気づかず、相手の欠点を指摘するという意味です。汚いという点で同じものが、相手を「汚い」と笑っているということをたとえにしています。
【例文】
・彼は何かというと人の容姿について悪口をいっているが、自分も人のことをいえず、目くそ鼻くそを笑うとはこのことだと思う
・人の批判をするときは目くそ鼻くそを笑うということにならないよう、注意したほうがよい
参考:デジタル大辞泉