近年頻発している災害に対して、日本人はどのような対策をしているのだろうか。
農林中央金庫では、「『世代をつなぐ食』その実態と意識」と題し2004年から、毎年継続して食に関する調査を実施しており、本年は全国3,500人の男女を対象に、災害に対してどのように備えているか知るための調査を実施したので、結果の概要をお伝えしよう。
備蓄食料品の期限が過ぎたことが“ある”人は6割超、平均年「4.8品」
調査の結果、災害時への備えは多くの人が行っているものの、いまだに十分とは言えない現状が明らかになった。
災害時の緊急避難場所は「場所はわかっているが行ったことはない」が半数近く(48.3%)を占めている。「チェックしに行ったことがある」が4人に1人(26.1%)いる一方で、「知らない」も4人に1人(25.6%)。
防災グッズを“準備している”(40.2%)は、“準備していない”(59.8%)より少ないということが判明した。
災害に備えた食料品の備蓄も、「備蓄しているが十分ではない」が過半数(55.2%)を占め、「備蓄していない」も4割近く(37.4%)で、「十分備蓄している」は1割に満たない(7.3%)結果に。
食料品が備蓄できない理由は「経済的余裕がないから」(28.4%)が1位となっている。備蓄食料品を「災害時に食べたことがある」は1割未満(6.6%)だが、「日常生活で食べたことがある」は約半数(56.0%)、一方で「食べたことはない」が4割(40.2%)。
自宅にある食料品で家族全員が過ごせる日数は、「2~3日程度」(43.5%)が最多で、平均は「5.3日」であった。
備蓄食料品の賞味(消費)期限を“把握している”は6割弱(57.1%)で、“把握していない”が約2割(22.5%)。
備蓄食料品の賞味(消費)期限が過ぎたことが“ある”が6割強(64.9%)、1年間に賞味(消費)期限が過ぎてしまった備蓄食料品は「5品未満」が7割(69.4%)を占め、平均は年「4.8品」であった。
これが日常で食べる食料品では「5品未満」は半数以下(45.9%)に減り、平均は年「9.2品」と倍近くに増える。
賞味(消費)期限が過ぎた際は「多少の期限切れなら食べる」が大多数(76.9%)を占めた。これについても日常食料品では「多少の期限切れなら食べる」が8割強(82.4%)に達している。
日頃から食材品を多めに買っておき、その備蓄を消費しながら新鮮なものに入れ替えて更新していく「ローリングストック」という考え方を“知っている”は4割強(42.0%)で、現状では「知らない」(58.0%)の方が多くなっている。
考え方を示したうえで、自分は「ローリングストック」が“できている”という人は3割強(36.1%)であり、“できていない”(41.5%)という人の方がやや多い結果に。
今後「ローリングストック」を“したい”意向は約7割(69.1%)に達し、社会に定着していく可能性が考えられる。
「ローリングストック」については、「備蓄品の食品ロスを減らすのに有効だ」“そう思う”(74.1%)、「非常食を買うより楽だ」“そう思う”(68.0%)、「知らない間に備蓄品の賞味(消費)期限を過ぎることを減らせる」“そう思う”(73.4%)、「災害時への備えに繋がる」“そう思う”(76.4%)など7割前後の肯定的な回答が得られている。
一方で、「場所を取るので実践しにくい」“そう思う”(41.5%)、「何を備蓄してよいのかわからない」“そう思う”(47.1%)、など否定的回答も少なくなく、今後の課題と言えそうだ。
関連情報
https://www.nochubank.or.jp/efforts/research.html
構成/Ara