ひと昔前なら、男性が好んでケーキなどを食べる姿は「男らしくない」と言われることもあったが、現在は“スイーツ男子”という言葉が定着し、甘党な男性もすっかり市民権を得ている。
とはいえ、40代になると誰しも気になってくるのが、血糖値。甘いものは食べたいけれど、カラダのことを考えると……。そんなあなたに耳より情報。NHKをはじめテレビや雑誌で活躍中の人気料理家、山田奈美さんによる、からだにやさしいおやつレシピ集『かんたんでおいしい砂糖なしおやつ』が発売された。
砂糖なしで本当においしいおやつが作れるのか? 著書である山田さんに、砂糖を使わないおやつの“本当のところ”を教えてもらった。
『かんたんでおいしい 砂糖なしおやつ』
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砂糖に代わる甘みは、はちみつ、みりん、甘酒
——そもそもこの本を作ろうと思ったきっかけはなんでしょう?
山田さん:中医学を学ぶ中で、砂糖は体を冷やし、血の巡りを悪くしたり、胃の働きを抑えてしまうということを学びました。とくに血糖値の上がり下がりが激しく、砂糖を摂取すると急激に血糖値が上がり、その上がりすぎた血糖値を下げようと、体内から大量のインスリンが分泌されます。すると今度は血糖値が急激に下がり、低血糖が起こって再び糖分が欲しくなるという悪循環に陥ってしまうんです。それが理由なのか、私も以前は冷え性がひどいうえ、胃がもたれやすく、疲れやすかったりと、なんとなく不調を抱えていたので、体によいものを摂るように、食生活を見直すことにしたんです。
——それが、砂糖を使わない食生活、ということなんですね
山田さん:はい。料理はもちろん、おやつ作りにも一切砂糖を使わなくなりました。そんな暮らしを十数年続けたら、冷えもなくなり、体は軽く、疲れにくくなりました。若い頃よりもずっと元気ですよ。
——健康的なのは喜ばしいことですが、実際のところ、甘みなしで、おいしいおやつを作るのは難しいのでは?
山田さん:甘みがないのではなくて、“砂糖に代わる甘み”を使うようにしたんです。それが主に、はちみつとみりんと甘酒です。
選んだ理由は、体に負担となる血糖値の上下動が穏やかで、悪玉菌の大好物であるショ糖の含有量が砂糖よりも圧倒的に少ないこと。そういう意味では、果物やドライフルーツなどを代用することもあります。
はちみつは便通をよくする働きがあるとされますし、みりんや甘酒は米や米麹、焼酎などを利用して発酵させたものなので、血糖値の上昇は緩やかで、ショ糖も含みません。食べてもいい甘みでおやつを手作りするようになったことで、それまでと変わりない甘い生活を続けることができました。
——おやつを作るのに、他におすすめの食材などはありますか?
山田さん:粉物のおやつのほとんどは、小麦粉を使わずに米粉を使っています。グルテンフリーで健康に良いことはもちろんなのですが、それにも増して、米粉は扱いやすいのが特徴です。製菓用の微粉末の米粉を選べば、小麦粉と同じように使えます。むしろ、粉をふるう必要もなく、グルグル混ぜすぎても問題ないので、おやつ作りのハードルを下げるのに欠かせない材料のひとつです。
——おやつ作り初心者のビジネスパーソンでも、簡単にすぐ作れるレシピはありますか?
山田さん:コーヒーのおともに、チョコレート風味の「ドライフルーツガナッシュ」なんていいと思います。刻んで混ぜるだけなので、15分もあれば作れます。甘みはドライフルーツで代用。バナナがドライフルーツをまとめる役割りをはたすので、チョコレートクリーム不要で作れます。うちの夫もたまに作っていますけど、みかんをギュッと絞って加えたりして、自分好みの味にアレンジしていますよ。ぜひ試してみてください。
コーヒータイムのおともに ドライフルーツガナッシュ
材料(直径3cmで6個分程度)
ドライフルーツ
(いちじくやデーツ、レーズンなど)…合わせて100g
ナッツ(カシューナッツや アーモンドなどお好みで)…20g
塩…少々
バナナ…1/3本
ココアパウダー…適量
作り方
1:ドライフルーツをすり鉢に入れてペースト状になるまでつぶす。ナッツは粗めに刻んでおく。バナナはざく切りにする。
2:つぶしたドライフルーツと刻んだナッツ、塩を加えてよく混ぜる。
3:2にバナナを加えてさっと混ぜ、6等分にして丸め、ココアパウダーをまぶす。
砂糖だけでなくバターや小麦粉不使用のレシピも満載!
本書の中には、こんな簡単に作れる15分レシピのほか、米粉を使ったグルテンフリーのレシピや、砂糖なしあんこを使った和のレシピなども満載。コーヒーブレイクの合間に、ぜひ手に取ってみてはいかがだろう。
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山田奈美さん プロフィール
薬膳・発行料理家。「食べごと研究所」主宰。「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事し、東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。雑誌やWEB、テレビなどで発酵食や薬膳レシピの提案・解説を行うほか、神奈川県葉山町のアトリエ「古家 1681」にて、「和食薬膳教室」「発行教室」「離乳食教室」などを開催。日本の食文化を継承する活動を行っている。著書に『菌とともに生きる発酵暮らし』(家の光協会)、『いつもの食材と調味料で体が整うごはん』(ナツメ社)、『発酵おやつ』(グラフィック社)など多数。
写真/福井裕子 スタイリング/木村遥 構成/大石裕美