現役CAに聞く旅のライフハック
――GWも終わってオフシーズンとなる6~7月は国内旅行に最適な時期。快適な移動で旅行を楽しみたいのですが、飛行機で一番快適な席とはズバリ、どこですか?
Ryucrewさん 人によって快適さを感じる基準は、いろいろあると思います。窓側で外の景色を楽しみたい人とか、トイレが近い方が安心する人。一人旅や家族旅行など、旅のかたちも様々でしょう。あくまでひとり旅を楽しむ、私個人の意見で言えば、「ギャレー、化粧室から離れた機体後方のバルクヘッドではない中央列通路側」です。
この理由の前に、座席の予約について少し触れておきましょう。飛行機の席の予約は1)予約する時に座席指定できる場合、2)チェックインの時に指定ができる場合、の大きく二通りがあります。最近はオンラインチェックインが増えましたが、LCCはオンラインでチェックインしていないところもあります。
たいていは12-48時間前にオンラインチェックインできます。座席指定は特定の席を除けば、ほとんどの場合、無料で早い者勝ちです。なので、オンラインチェックイン開始と同時に自分の好きな席を取るのがコツです。
「ギャレー、化粧室から離れた機体後方のバルクヘッドではない中央列通路側」ですが、ギャレーはCAの仕事場で、飲み物のカートが収納されている場所です。ギャレーからCAの会話が聞こえてきたり、作業の音が漏れることがあるので、静かに旅を楽しみたい人はここから離れた席が快適です。
機内サービスの後は化粧室を使う人が増えます。いつも座席横に人が立って待つことになる上、待ちながら会話をする人も多いので、できればトイレから遠い席がお勧めです。
多くの会社は機体の前方から席を埋めていくので、満席でない場合は後方に空席がある場合が多いです。自分の席の隣が空席だと人の目を気にせずにいられるし、ゆったり座席に座れます。
バルクヘッドの席とは機内にあるいくつかの壁のすぐ後ろの席のことです。ここは前に人がいないので広く座れますが、荷物をすべて上に保管しておく必要があります。また、ひじ掛けが固定されている席が多いので、せっかく隣が空いていても、あまり広くは使えません。
また、エコノミーの座席は横一列が2-3-2か3-4-3という席で構成されます。この真ん中の3か4の席は比較的、隣が開いていることが多いので、ストレスなく座ることができます。
機内で映画を楽しみたい人には、バルクヘッドの席は、あまりお勧めできません。前に座席が無いので、アームレストからスクリーンを出して見ることになります。離着陸時には必ず収納しなければならないので、ギリギリまで映画を見たい人には向いていません。
逆に、小さなお子さん連れのお客様はバルクヘッド席がお勧めの場合があります。バシネットという乳幼児用ベッドが設置できる席があり、安心して寝かせることが可能です。これは会社によっても異なるので、搭乗前に問い合わせてみてください。
機内食ハンターの人は前方の席がお勧めです。機内食は前から順番に聞いていくので、食べたい機内食がある人は前方に座れば、「なんでお肉ないねん」と悲しまないですみます。
――なるほど!あともうひとつ、機内でのライフハックがあれば教えてください。
Ryucrewさん 「シートの隙間に落ちた物は自分で無理に拾わない」です。
スマホなどに使われるリチウムイオンバッテリーが着火した事件を受け、航空会社では搭乗時に「携帯電話やスマートフォン、モバイルバッテリーがシートの隙間に落ちた時は、フライトアテンダントを呼んでください」というアナウンスをするようになりました。実際に落ちたスマホを無理に取ろうとして破損させて、火が出た事件がありました。
最近ものすごく多くなっているのが、ワイヤレスイヤフォンが座席の隙間に落ちてしまうケース。とても増えていて、フライトのたびに1-2件は起きています。変なところに入り込んでしまうと、着陸後にメンテナンススタッフを呼んで取り出す必要があります。紛失防止のためにも、機内ではコード付きやヘッドフォンタイプがお勧めです。
自分らしく生きることが一番大切
――このほどRyucrewさんの魅力満載の新刊書「国際線外資系CAが伝えたい 自由へ飛び立つ翼の育て方 当機は“自分らしい生き方”へのノンストップ直行便です」(KADOKAWA発刊、定価1600円+税)が発刊されました。英語力の養い方や、お得な旅の方法なども紹介されています。
Ryucrewさん YouTubeでは大阪弁でしゃべり倒しているからか、ありがたいことに「明るい人」「楽しそうな人」と言っていただけるのですが、そんな私にも当然、弱い部分やネガティブな部分があります。出版にあたって、YouTubeではお伝えしてこなかった、自分自身が悩まされた病気(パニック障害)のことについても書かせていただきました。
書くか書くまいか、最後まで悩みましたが、同じ悩みを抱えている方が思っていた以上にたくさんいらっしゃることを知り、覚悟を決めました。私の体験がちょっとでも救いになれば、そしてこれまでためらっていた一歩を踏み出すきっかけになれればと、思っています。
――最後に@DIME読者にコメントをお願いします。
Ryucrewさん 本の表紙には「当機は自分らしい生き方へのノンストップ直行便です」というコピーが載っています。本では子供の頃に憧れていたCAになるために、やってきたいろいろな体験をまとめましたが、日本でもカナダでも、どこに行っても自分らしく生きることが一番大切ではないかと考えています。
人生、いいこともあれば悪いこともあります。けれども、立ち止まっていては、事態は何も変わりません。どんな時も行動あるのみ。自ら一歩を踏み出せば、いつか必ず好転していくと私は信じて、今日も空を飛んでいます。
――ありがとうございました。
取材協力:Ryucrewさん
1992年生まれ、大阪なにわ育ち、カナダバンクーバーを拠点とする外資系エアラインの現役CA(キャビンアテンダント)。欠航が相次ぐコロナ禍のもと開設したYouTubeチャンネル【関西弁CA / Ryucrew】は、チャンネル登録23万人超(2024年2月時点)、人気動画「CAが教える!ホテルに入室したら、絶対チェックすべき8項目。」は172万回再生を突破。コテコテの関西弁と人間味のあるユーモアで、客室乗務員の仕事やカナダでの生活、旅のTipsを配信。日本テレビ系『マツコ会議』ほか、数々のメディアに出演。
文/柿川鮎子