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女性医師による治療を受けた患者は死亡率や再入院率が低い傾向、UCLA研究チーム報告

2024.05.18

医師の性別で入院患者の予後が異なる

医師の性別によって、入院患者の予後が異なる可能性を示すデータが報告された。女性医師による治療を受けた患者の方が、死亡率や再入院率が低いという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デイビッド・ゲフィン医学部の津川友介氏らの研究の結果であり、詳細は「Annals of Internal Medicine」に4月23日掲載された。

この研究は、米国の公的医療保険であるメディケアの医療費請求データを用いた遡及的観察研究として実施された。2016~2019年に入院治療を受けた患者の20%を無作為に抽出し、医師の性別と患者の転帰(30日死亡率と再入院率)との関連を解析した。

女性患者45万8,108人のうち14万2,465人(31.1%)と、男性患者31万8,819人のうち9万7,500人(30.6%)が、女性医師によって治療されていた。

女性医師の治療を受けた患者の30日死亡率は、患者が男性の場合は10.15%、患者が女性の場合は8.15%であったのに対して、男性医師の治療を受けた患者では同順に10.23%、8.38%であった。

この結果について津川氏はUCLA発のリリースの中で、「男性医師と女性医師が同じように治療しているなら、患者の転帰に違いはないはずであり、これは厄介な矛盾だ。われわれの研究結果は、医師の性別によって治療が異なり、その違いが患者の転帰に影響を及ぼしていることを意味する」と述べている。

医師の性別による転帰の違いは、患者が女性の場合により大きかった。具体的には、女性患者では医師の性別により死亡率が有意に異なっていた〔平均限界効果(AME)-0.24パーセントポイント(95%信頼区間-0.41〜-0.07)〕。それに対して患者が男性の場合は、医師の性別による死亡率の差が少なかった〔AME-0.08パーセントポイント(同-0.29~0.14)〕。再入院率についても同様の傾向が認められた。

患者が女性の場合に、男性医師による治療が女性医師による治療ほどには予後が良くないことの理由として、研究者らはいくつかの可能性を挙げている。例えば、男性医師は女性患者の病状を過小評価しやすいことが考えられるという。

過去の研究で、男性医師は女性の痛みのレベルや心臓・消化器の症状の強さ、脳卒中のリスクなどを、低く判断する傾向があることが報告されている。また、女性患者は男性医師より女性医師との方が良好なコミュニケーションを取りやすいと考えられ、そのことによって、正しい診断と治療に欠かせない情報が医師に伝わりやすくなる可能性もあるとのことだ。

津川氏は、「男性医師の治療が女性医師の治療と、どのように異なり、またなぜ異なるのか、そしてその違いが患者に及ぼす影響について明確にするため、さらなる研究が必要だ。そのような研究を進めることで、患者の転帰を全体的に底上げできるのではないか」と述べている。

また同氏は、医師の収入が性別によって異なるという事実と、その格差解消の必要性に言及し、「女性医師が増えることは、社会的に見て患者の利益につながる」と話している。なお、2021年に「Health Affairs」に掲載された研究によると、40年間の医師キャリアにおける収入は、女性が男性よりも約200万ドル少ないとされている。(HealthDay News 2024年4月23日)

Copyright (C) 2024 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M23-3163

Press Release
https://www.uclahealth.org/news/treatment-female-doctors-leads-lower-mortality-and-hospital

構成/DIME編集部

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