こどもでぱーと
『こどもでぱーと』は2025年春より開業予定の、子供教育に関する幅広い機能を備えたビルの名称。手がけるのは、都心の駅近に多くのオフィスや商業ビルを持つ不動産会社ヒューリックだ。上場以来15期連続で経常利益最高益を達成するなど業績好調の同社がなぜ、子供の教育事業に初めて参入したのか?
「労働人口の減少やコロナ禍によるオフィス環境の変化を受け、主力のオフィス事業以外に新規事業を模索していました。そんな中、共働き世帯や子供にかける教育費の増加に着目し、ビジネスチャンスがあると考えました」(ヒューリック新事業創造部こども教育事業室 大久保立樹さん)
『こどもでぱーと』には学習塾や託児所、学童、運動スクールなどの入居が予定されている。ヒューリックと、学習塾「TOMAS」などを運営するリソー教育、子供向け運動スクール事業に取り組むコナミスポーツの3社が業務提携を行ない、子供向けの質の高い習い事を提供する。
「駅近での開発が前提なので、テナントにはそれに見合った経済条件が必要で、顧客に付加価値の高いサービスを提供する企業が求められます。この2社はすでに非常に価値ある教育サービスを提供しており、保護者が納得する形での負担が見込めます」(大久保さん)
開業が予定されているのは中野、たまプラーザ、渋谷だ。いずれも駅近立地で、幼児から小・中学生の利用が想定されている。ターゲット層はズバリ、教育費にある程度のお金をかけられる都心の子育て世代だ。
「駅近の立地に加えコンシェルジュや送迎サービスも導入することで、子供たちがより安心・安全に教育サービスを受けられます。さらに、ビル内で複数の習い事を提供するため、掛け持ちもスムーズ。親御さんの送迎の負担もだいぶ軽減されます」(大久保さん)
少子高齢化が進む日本だが、今後子供1人にかけるお金は確実に増える。そのことに着目したヒューリックの新事業に注目だ。
習い事のほか、保育所や学童保育の入居も想定される。習い事も同じ建物にあることで年齢軸での囲い込みもできるため、テナントにとってもメリットが大きそうだ。
中野の『こどもでぱーと』は9階建ての予定。たまプラーザは3階建てを予定している。
入居施設は習い事だけではなく託児所や小児科クリニック、親子カフェなども想定。
2029年までに首都圏に約20棟開発予定
現在具体的に開発が決定しているのはこちらの3棟。ほか26年度中にもう1棟、27年度中に2棟のプロジェクトが進行中だ。さらに、将来は、たまプラーザ以外の神奈川県、千葉県や埼玉県への進出も視野に入れているという。
運営元のヒューリックは15期連続最高益
取材・文/高山 惠