あまり聞きなれないかもしれない「メリハリ照明」という言葉。簡単に言うと、カフェやホテルのラウンジなどに見られる、ちょっとシャレた照明の使い方だ。
天井のスポットライトやペンダントライトがテーブルの上だけをピンポイントで照らし、座席間の通路は、あえて程よい明るさにとどめている。カフェやホテルのラウンジは、オシャレに見えるだけでなく、落ち着く雰囲気を提供し、会食に集中できるよう、明るさと暗さのコントラストを持たせた照明環境になっている。
少し明るさにメリハリを付けるだけで印象がガラリと変わり、従業員の気持ちが変わるだけでなく、省エネにもつながる
その正反対にあるのが、昔ながらの一般的なオフィスの照明。同じ照明を天井にいくつも配置し、デスクから通路、書庫から休憩ブースに至るまで、均一な明るさで照らしているため、のっぺりとした印象になり、オフィス特有の固い雰囲気も感じる。
ちなみに、運ばれてくる料理にも同じようなことが言える。例えば、白いご飯に茶色のルーがかかっているだけのカレーよりも、色鮮やかな赤や黄色のパプリカ、ブロッコリー、白いアスパラ、ナスなどが盛り付けられているカレーのほうが、よりおいしそうに見えるもの。言わばこのように明るさや色にメリハリを持たせて、ワンランク上に空間を作るのが「メリハリ照明」なのだ。
いつも食べるカレーは白いご飯と茶色のルーで見た目のメリハリがない。お昼に食べるなら十分ではある
オシャレなカフェなどに行くと別に茹でられた色鮮やかな野菜がトッピングされることも多い。メリハリの効いた見た目なので、よりおいしそうなカレーに見える
仕事に集中できてコミュニケーションも円滑に!「メリハリ照明」は「気分」にも効果的。
「メリハリ照明」をオフィスに導入した時の効果について、おそらく多くの人がカフェやホテルのラウンジなどで、同じような体験しているかもしれない。例えば、テーブルの上だけを照らすスポットライトが備わっていると、周囲の席と仕切られていなくても、机を囲むメンバーとの会食に集中できるだろう。また、程よい明るさの電球色の照明が使われることが多いホテルのラウンジでは、会社の応接室と違って、同じソファーでもリラックスできるはずだ。それはまさに、メリハリの効いた照明のおかげとも言える。
そんな「メリハリ照明」を導入するオフィスに取り入れる動きが出てきている。パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社が行なった、導入済み企業の従業員に対するアンケートからは「業務に集中できるようになった」という感想が多かったようだ。
■[「業務に集中できているか」という質問に対するアンケート結果]
【「メリハリ照明」導入前】
【「メリハリ照明」導入後】
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社の「メリハリ照明」担当・瀧 柚太郎さんによれば、導入企業の従業員からの評判は上々だという。
「例えば、奈良県庁様では『気軽に上長とお話がしやすい雰囲気になり、風通しが良くなりました』『手元が明るく照らされているので、集中しやすい空間になったと思います』といった声をいただいています」
「また、同じく『メリハリ照明』を導入した株式会社エスエー防災様では『カフェのような雰囲気になったので、出社すると気分が上がります』『最初は明るさ感が不安でしたが、利用を始めても問題なく仕事ができています』など、従業員の方々から好評をいただているようです。両社に共通しているのは『リクルーティング活動の一環で来社された学生にとても喜んでもらえている』という点。『こんな職場で働きたい』という気分を味わってもらえて、求人に大きく役立っている』とのことです」
「メリハリ照明」を導入した奈良県庁
「メリハリ照明」を導入した株式会社エスエー防災
株式会社エスエー防災が「メリハリ照明」を導入する以前の様子。ありがちなのオフィスだ
株式会社エスエー防災が「メリハリ照明」を導入した後の様子。休憩スペースは全体をやんわりと明るくし、個々の作業デスクはスポットで明るくする一方、通路は明るさを落とすことで、メリハリを付けている
なお、これらの導入事例の実際の雰囲気は、以下のURLから映像を見られる。従業員や経営者の生の声も聞けるので、参考になるかも知れない。