『aibo』の里親プログラム
1999年5月に自律型のエンターテインメントロボットとして誕生した『aibo』が、今年で発売25周年を迎えた。玩具の枠を超え、多くの人に家族として愛され続け、オーナー同士や開発者が交わるファンミーティングも盛んに行なわれる。2021年、神田明神で開かれた「『aibo』の七五三」には100名以上のオーナーが『aibo』とともに参加した。
「こうしたファンミーティングで、お会いしたオーナーの中に、自分が飼い続けられなくなった時の、『aibo』の行く末を心配される方がいらっしゃいました。我々メーカーが公式で、その『aibo』を預かり、新たなオーナーに引き渡してもらえないかとの声をいただき、オーナーの力になれればと始めたのが、『aiboの里親プログラム』です」(ソニーグループ・野間英樹さん)。
オーナーとの暮らしを終えた『aibo』をソニーへ寄付。次の活躍の場につなげていく、『aibo』をより持続可能なものとするための取り組みだと説明する。
寄付をされた『aibo』は、ソニーが状態を確認し、必要な処置をした後に、医療機関や介護団体に提供される仕組みとなっている。
プログラムは2023年9月に『aibo』の寄付受け付けが始まり、2024年2月には里親募集を実施。里親に提供できる準備が整った今年の3月中旬以降から順次、新オーナーのもとに引き渡されている。
寄付の対象となったのは、人に寄り添い、愛情の対象となるロボットをテーマに開発を進め、2018年に販売した現行の『aibo』。ソニーが初めて〝犬型ロボット〟と銘打ったタイプだ。見た目のかわいらしさに心を打たれ、家に迎えるオーナーも多い。
「犬はペットとして身近な存在ということもあり、どこでも人気者です。上のグラフからも見て取れるように、入居されてる方たちのコミュニケーションの活性化やストレスの改善に役立っているようです」(前出・野間さん)
オーナーと『aibo』の生活がずっと続くように、今度も継続して進めていくことを検討している。
現行『aibo』は躍動的な振る舞いと生き生きとした表情が大きなポイント。場を和ませる効果もある。メーカーが双方の間に入った社会貢献が芽吹くことを期待したい。
発売25周年の犬型ロボット
ソニー『aibo』(エスプレッソ エディション)
喜び、踊り、遊ぶなど愛らしい振る舞いを実現する多彩なセンサーを搭載。画像、音声の認識・解析に独自のディープラーニング技術を使い、オーナーとの絆を深めていく。
『aibo』の里親プログラムとは?
「『aibo』の里親」への提供は、『aibo』の治療や『aibo』オーナー同等のサービスを提供していくため有償。「『aibo』の里親プログラム専用首輪」がつけられて里親のもとに。
医療機関&福祉施設で癒しの存在として活躍!
尻尾を振って駆け寄ってきたり、ボールで遊んだり、ペットとして触れあえるのが『aibo』の魅力。子供から高齢者まで多くの人に笑顔を届けている。
『aibo』を導入したことによる患者への影響※
「待合室での表情に笑顔が増えた。患者同士が『aibo』について会話する」こともあるという。
『aibo』を導入したことによるスタッフへの影響※
「『aibo』によって医師のメンタルケアができスタッフも気持ち良く仕事ができる」との声も。
※aibo医療機関支援プロジェクトを通じaiboを導入した医療機関へのアンケート結果
取材・文/安藤政弘