裁判所のジャッジ
裁判所
「麗子は妻に慰謝料300万円を払え」
■裁判所が300万円にした理由
・マサオと麗子との不倫のいきさつを妻が知り、マサオへの不信感、嫌悪感を一気に募らせ、これが婚姻関係の破綻の要因となった。
・たしかにマサオが愛人を募集しており、今回の不倫についてはマサオが主導的役割を果たしたことは否定しがたい。
・が、どっこい!麗子は結局マサオの提案を受け入れ、300万円を出してもらって会社を設立し、新居建築なども実現させており、さらに子供を出産し、それ以後もマサオに生計を依存している。
・このように麗子は、解消困難で恒久的な不貞関係の形成、継続に加担しており、責任は軽視し難い。
――麗子さんが挙手してますね。何ですか?
麗子
「マサオさんから『浮気承諾書がある』と言われたんですよ。これでも私に責任があるんですか!?」
裁判所
「へい。『浮気承諾書がある』と言われ肉体関係を持つに至った動機、事情は、慰謝料の金額をハジき出す時に考慮されることはあるかもしれないが、責任自体を免れることはできないです」
――両手を挙げてますね。麗子さん、どうぞ。
麗子
「でもですよ!マサオさんが浮気承諾書をチラつかしてきたことが不倫関係になった1つの原因なので、過失相殺が認められるべきです!」
裁判所
「おだまり!浮気承諾書なんぞは社会的良識の埓外です。婚姻秩序の根幹に背馳しています。結婚する時にマサオが妻の弱みにつけ入りサインさせたものであり、法律的に無効なのです。こんなものを減額要素として考慮することはできません」
というわけで、麗子の反論は撃沈しました。
貞操観念うるわしき紳士の皆さま。「浮気承諾書」などは裁判所に持ち込まれるとクソ紙同然なのでご注意を!
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。法律コンテンツを作ることが専門の弁護士。
最新情報は下記SNSから。「こんなこと解説してほしい」も受け付けています。
HP
X
instagram