TポイントとVポイントが統合し、新生Vポイントとしてのサービスが開始された。
これは去年急逝した三井住友フィナンシャルグループの太田純社長の「遺産」のひとつである。今回は新生Vポイント開始と共に生まれ変わった『VポイントPayアプリ(旧称Vポイント)』を使ってみたい。それまで使っていたTポイント(Tカード)を連携することができるアプリで、三井住友銀行に口座がなくても使えるとのことだが……。
かつては革新的サービスだったTカード
筆者が20代の頃は、まさに「Tカード全盛」だった。
当時はVHSやCD、DVDを貸し出すレンタルビデオ店というものがあり、それぞれの店が独自の会員証を発行していた。ところがTSUTAYAの店舗では、どこかでTカードを1枚作ってしまえば全国どこへ行ってもそれだけでビデオを借りることができたのだ。その上でポイントカードとしての機能もあるのだから、当時としては革新的だった。
しかし、今は2024年。Tカードはその設計が旧式化してしまい、煩わしさが目立つようになった。最も顕著なのは、決済とポイント付与の仕組みが分離しているという点だろう。Tカード機能付きのクレジットカードですら、一挙動で決済とポイント付与を完結することができない仕組みだ。
新生Vポイントは、そのような設計を一気に近代化する。決済と共にポイントが付与される「ワンオペレーション」機能は、Tポイント連携店特有の「Tカードはございませんか?」をなくす効果を含んでいる。これがどれだけ決済のスムーズさに寄与するかは計り知れない。
三井住友銀行の口座がなくても使えるが…
日本のポイントサービスの老舗、Tポイント。これを長年に渡って貯めている人も少なくないはずだ。
今まで活用してきたTカードの番号は、VポイントPayアプリに紐付けして今後も使い続けることができる。嬉しいことにVポイントPayアプリはSMBCグループの運営だが、三井住友銀行に口座を持たない人もこのアプリを利用できる仕組みだ。
長年のTカード保有者がVポイントPayアプリに乗り換えて、これを買い物の友とする選択肢も悪くないだろう……と筆者は書きたかった。ところが、じっくりこのアプリを使っていくと銀行系サービスならではの「?」がいくつもあることに気がついてしまった。
先ほど、「三井住友銀行に口座を持たない人もこのアプリを利用できる仕組みだ」と書いた。それについては間違いないのだが、一方でVポイントPayアプリは三井住友銀行の口座を保有していない人にとってはいささか使いづらい設計になっている。