2019年12月に、トヨタ・ヴィッツの後継車、4代目としてワールドワイドなネーミングに改められ、新型として登場したのがBセグメントに属するトヨタ・ヤリス。発売以来、その人気は絶大で、2023年4月~2024年3月期の登録車販売台数でヤリスクロスやGR版を含むものの、前年比104.8%で第一位。直近の2024年4月の乗用車ブランド通称名ランキングでもトップを維持しているほどだ。
ライバルの追随を許さない燃費性能の高さで世界を席巻
ボディはもちろん5ナンバーサイズの全長3950×全幅1695×全高1495mm。ホイールベース2550mm。パワーユニットは1.5L 3気筒エンジン、1L 3気筒エンジンを基本に、1.5Lにはトヨタ自慢の2モーターHVも揃い、HVに電気式無段変速機、ガソリン車はCVTのほか、その1.5Lには国産車としては希少な6MTも用意されている。それはヤリスが欧州などでも勝負するワールドワイドなコンパクトカーである証明でもあるだろう。
そしてヤリスが売れている大きな理由が、ライバルの追随を許さない燃費性能の高さだ。HVのXグレード、FFでなんと36.0km/Lを誇り、もっとも重い(といっても1180kg)最上級Zグレードの4WDでさえ30.2km/Lと、30km/L越えなのである。
そんなトヨタ・ヤリスが2024年1月に一部改良。そのポイントは、エクステリアではラジエーターグリルの変更を行い、一段と迫力ある顔つきに変身。インテリアではZグレードの合成皮革+ツイード調ファブリックのシート、7インチTFTフルカラー液晶メーター、最新のディスプレーオーディオの採用といったアップデートが行われ、車内の先進感、上質感を高めている。
もちろん、先進運転支援機能のトヨタセーフティセンスも最新版となり、プリクラッシュセーフティの検出対象範囲を交差点の出会い頭時の車両や自動二輪車にまで拡大したほか、実用的で日々の運転で役立つプロアクティブドライビングアシスト(PDA)をHV全グレードに標準装備。最新のトヨタ車のほとんどに採用されているそのプロアクティブドライビングアシストとは、一般道での歩行者の横断、飛び出し、自転車運転者の存在などを先読みし、運転操作をサポートしてくれるほか、先行車との距離が接近した際やカーブ手前、右左折時などでの減速操作を”ACCの手を借りず”サポートしてくれる超賢い先進機能だが、おかげで市街地走行での運転のしやすさ、安心安全に直結。ライバルにない大きなメリットとなっている。もちろん、オペレーターサービスのSOSコールによる出発前からの安心も絶大だろう。
まず、改めてヤリスのパッケージについて説明すると、見た目より使える前後席・・・ということになる。具体的には、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で、前席頭上に160mm、後席頭上に100mm、後席膝周りに170mmというスペースが備わっている。例えば、センタータンクレイアウトによって室内空間を可能な限り拡大しているホンダ・フィット4が同200mm、120mm、320mmだから、決して広々、ゆったりとした後席スペースではないものの、じつは、座ってみるとこれが意外に快適なのである。というのは、頭上方向こそゆとりはないものの、フロアからシート座面先端までの高さ=ヒール段差が370mmとこのクラスとしては高めで(平均360mm)、いわゆる体育座りにならない、太腿裏が密着した好姿勢をとれることと、前席下のつま先が入るスぺースもしっかり確保されているため、身長172cmの筆者でも着座感に大きな不満はなく座れるのである。同時に立ち上がり性にも有利になる。
ラゲッジルームの使い勝手もなかなかだ。開口部地上高は660mmと、世界のステーションワゴンの平均値630mmより30mmほど高いだけで、フロア奥行630mm、フロア幅995mm(ペットカートなどが真横に積める幅)、天井高690mmと、大人2人+子供の1泊旅行の荷物であれば、まったく無理なく飲み込む容量が確保されている。しかも、床下全面にもサブトランクが備わっているから使いやすいのである。
ちなみに6:4分割の後席を倒せば、フロア奥行は1205mmまで拡大。その際、段差はなく、後席背面部分にちょっとした角度がつくだけだから、長尺ものの積載も楽々だろう。
HV車には45100円(税込み)で、車内外で1500Wまでの家電品が使えるAC100V/1500Wコンセントの装着でき、アウトドアや災害時に役立ってくれる。ライバルのコンパクトカーの多くにないメリット、使い勝手の良さと言っていい。