ディスプレイに機能を絞った『XREAL Air』シリーズがヒットする中、『XREAL Air 2 Ultra』で空間コンピューティングに挑むXREAL。その未来にどんなビジョンを描いているのか。
日本XREAL
プロダクトマネージャー
高 天夫さん
国内販売を担当。3月開催のイベントに登壇し、XREALの2023年のAR市場でのシェアが45.2%を占めたことや、シリーズ累計35万台を出荷したことを明らかした。
3月のイベントでは、『XREAL Air』シリーズのデザイン性の高さをアピールするため、ファッションショーも開催された。
ARグラスはより高解像度、広視野角、かつ軽量へ
XREALが開発者向けに発売する『XREAL Air2 Ultra』は、従来の『XREAL Air』シリーズとは一線を画す製品だ。単に仮想ディスプレイを表示できるだけでなく、正面両端に組み込まれたセンサーが空間を認識。複数のウインドウや立体的なオブジェクトを空間に配置し、回り込むように見たり、手で触れることもできる。『Apple Vision Pro』で注目を集める「空間コンピューティング」が、体験できる製品になっている。
日本XREAL プロダクトマネージャーの高 天夫さんは、空間コンピューティングの普及に向けて鍵となるのは、「実用的な立体アプリが増えてくること」だと話す。「まずはすでにスマホでよく利用されているようなアプリを3D化、空間化していくのが最初のステップ」とし、業界全体で盛り上げていけば、参入する開発者も増えると期待を寄せる。すでに『XREAL Air2 Ultra』は、予約が殺到して供給が追いついかない状況といい、盛り上がりの機運を肌で感じているという。
一方で、ハードウェアとしてのARグラスが今後目指すのは、「さらに解像度が高く、視野角が広く、それでいてファッショナブルで軽い製品」と高さん。視野角が広がれば、HMDのようにARグラスでもよりイマーシブな体験が可能になる。ただし、カメラ越しのビデオシースルーと異なり、光学シースルーで視野角を広げるのは、簡単ではない。さらに軽量化を進めれば、コストやバッテリー持ちも課題となる。当面は、あえて機能をディスプレイに絞ることでコストを抑えた『XREAL Air2』のような製品と、空間コンピューティング対応製品を、「並行して走らせていくことになるだろう」と話していた。
空間コンピューティングを体験できる新ARグラスが登場
XREAL『XREAL Air 2 Ultra』
9万9800円
6DoFやハンドトラッキングに対応するシリーズ最上位モデル。空間コンピューティング用ソフトウェア開発キット(SDK)の提供とあわせて、開発者向けに発売。
配置されたオブジェクトに、手で触れて操作できる。HMDに比べて視野は狭いが空間コンピューティングを体験できる。
取材・文/太田百合子 撮影/タナカヨシトモ
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2024年3月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。