長引く円安とインフレにより、多くの品目で値上げが相次いでいる。4月29日には34年ぶりに1ドル160円台を記録したが、5月の物価にはどのような影響があったのだろうか。
帝国データバンクは、2024年5月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて、分析を行ったので結果をお伝えしよう。
5月の食品値上げは417品目、年間は7千品目突破 「原材料高」値上げ再燃
主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした5月の飲食料品値上げは417品目を数えた。前年同月(837品目)に比べて420品目・50.2%減と、5カ月連続で前年同月を下回ったほか、2カ月ぶりに1千品目以下の水準にとどまっていた。
値上げ1回あたりの平均値上げ率は、5月単月で31%という結果に。オリーブオイル製品や大型PETボトル飲料などで大幅な価格引き上げが行われたことを背景に、単月としては2022年以降初めて30%台を記録。
2024年の値上げ品目数は10月までの累計で7424品目となり、年間の平均値上げ率は18%に達している。23年の値上げ予定品目で7千品目到達が判明したのは22年12月時点だったのに対し、24年分では同年4月と、前年より4カ月遅いペースだった。
2024年の値上げ要因では、特に4月以降に多く発生した「原材料高」の割合が高まっている。24年(1-10月)に予定される値上げ品目のうち、「原材料高」は90.5%を占めた。
猛暑や干ばつなど天候不順による不作で、カカオ豆やインスタントコーヒー製品の原料となるロブスタ豆、オリーブなどの原材料価格が高騰し、23年後半にかけて沈静化していた「原材料高」値上げが一部食品で再燃。
原油高などを背景にプラ製容器関連の価格が上昇した「包装・資材」(66.5%)、2024年問題などで輸送コスト上昇が続く「物流費」(60.1%)、輸入コスト増となる「円安」(28.9%)、賃上げによる影響が出始めた「人件費」(28.2%)による値上げも、それぞれ23年同期を上回る水準で推移した。特に「人件費」は、前年同期(8.8%)から3倍の水準で推移している。