小学校教諭の粕谷昌良さんいわく、歴史や地理を学び直すと、偉人の生き様に共感できたり、地域の営みに感心させられたりすることが多いとか。そんな両者の知識を楽しく深められる『名探偵コナン』のエピソードを紹介しよう。
筑波大学附属小学校教諭
粕谷昌良さん
1975年生まれ、千葉県出身。日本社会科教育学会会員。「小学校社会科授業づくり研究会」の代表。著作や監修に『子ども教養図鑑 世の中のしくみ』(誠文堂新光社)などがある。2015年より現職。
『名探偵コナンの12才までに歴史・地理センスを育てる165問』(小学館)
歴史や地理に関する知識を『名探偵コナン』のキャラクターと一緒に学べる、粕谷さん監修の本。漫画やイラストを多用したクイズ形式の出題や解説なので、小学生でも飽きずに読み進められる。
歴史や地理の知的好奇心を『名探偵コナン』が刺激する
「実は歴史の解釈って10年すれば変わってしまうことが多いです。例えば源頼朝は、従来の教科書に掲載されてきた肖像画が別人という説も。そのため、今使われている源頼朝の肖像画は甲斐善光寺に置かれている木像の写真がほとんど。このような新鮮な驚きも歴史の学び直しから得られるのです」
一方の地理は、大人だからこその〝ミクロな視点〟が加わることで地域の理解を深められるという。
「例えば、和歌山県は〝ミカンの産地〟と学びますが、それは〝マクロな視点〟。大人になって〝ミクロな視点〟が働くと、他県に囲まれた飛び地(北山村)では『じゃばら』という柑橘類が作られていて、該当事業の〝6次産業化〟が進められている……といったことも見えてくる。地理の学び直しで、土地ごとの営みを知るおもしろさを感じていただけるでしょう」
上記で取り上げるように『名探偵コナン』には史実にちなんだ舞台や人物が登場。青山剛昌氏と担当編集による現地取材をふまえて作られたストーリーもあるそうで「実はそうなんだ!」と知的好奇心を刺激されることも多い。歴史や地理を学び直す足がかりには、打ってつけの〝教材〟なのだ。
「歴史や地理の学び直しでは、ただ暗記するだけでなく、文献や事象に対して異なる見方があれば調べてみて、理解を深めましょう」
なお、大人にとって大切な多角的な視点を養うのにも『名探偵コナン』は役立つと粕谷さんは言う。
「〝真実はいつもひとつ〟というセリフがありますが、現実では人の立場によって〝真実〟が変わることもある。コナンは事件ごとにひとつの結論を導き出しますけど『こうしたら事件は起きなかったかも』という別の視点から〝アナザーストーリー〟に思いを巡らせると、物事に対する見方が柔軟になるし、作品がよりおもしろくなるのではないかと私は考えます」
DIME6月号は読みごたえたっぷりの「名探偵コナン」50ページ大特集
DIME6月号は今年連載30周年を迎えた「名探偵コナン」を約50ページにわたって大特集! 全世界累計部数は2.7億冊を突破、昨年公開の映画『名探偵コナン黒鉄の魚影(サブマリン)』は初めて興収100億を突破するなど進化を続ける超人気作品の魅力を徹底取材!
連載30年の歩み、愛され続ける理由、コナン沼にハマった著名人インタビュー、担当編集が明かす制作の舞台裏、コナンで身につくビジネススキルなどあらゆる角度からコナンの魅力を紐解きます。