「根拠」が心もとないと「主張」を納得させられない
「家で起こる奇妙な出来事の謎を解明してほしい」という手紙が小五郎のもとに届く。その家には兄弟が住んでいて、鳩時計が11時を指すと家中のデジタル時計が鳴り出す事態が発生。小五郎は、時計の「11:00」という表示から「シマ模様」が謎を解くカギだと勘違いし、思い込みを根拠に推理を進めたため、兄弟から不信な目を向けられる……。ロジカルシンキングの〝反面教師〟の好例だ。
「イシュー」が特定できていないと思わぬ間違いを犯す!
結婚前夜パーティーに招待されたコナンたちは、会場の駐車場でクルマが燃えるのを目撃する。中では新婦が黒コゲの遺体になっていた。「女性がなぜ(動機)、どのように亡くなったか(手法)の解明を、イシューに設定するとわかりやすいです。見えている状況だけを判断材料にしないことも重要です」(上野さん)
ビジネスの課題解決に必要な「イシュー」と「枠組み」という考え
アイドルの沖野ヨーコが、ストーカーの調査を小五郎に依頼する。沖野の部屋に行くと男の遺体が……。小五郎は大ファンの沖野が「犯人じゃない」という先入観から間違ったイシュー(下記)を設定。一方のコナンは、部屋の状況を調べて的確なイシューと枠組みを考えて真犯人を特定する。こうした手法は、上記のような仕事の懸案事項を検討する際にも当てはめられる。設定したイシューに対する適切な枠組みを考えれば、課題の解決に近づけるはずだ。「小五郎の推理を笑いながらも、仕事で同じことをしないように気をつけましょう」(上野さん)
取材・文/久村竜二