コナンの〝ネットワーク力〟はビジネスにも不可欠な要素
『名探偵コナン』は、あくまでもエンターテインメント作品ではあるものの、仕事につながる教養などを学べるようになっている。まずは経営学者で漫画好きの入山章栄さんが、作品を通じて実感できる〝ネットワーク力の重要性〟を解説!
経営学者
入山章栄さん
経営学者、早稲田大学大学院教授。サスペンス全般を好み、綾辻行人や有栖川有栖などが書く本格ミステリーがお気に入り。『名探偵コナン』は劇場版を子供と鑑賞。出張時の機内で見ることもあるそうだ。
『イノベーションのDNA:破壊的イノベータの5つのスキル』(翔泳社)
クレイトン・M・クリステンセンらが共著した名作。Amazon、テスラ、世界に名だたるイノベーターのアイデアはどこから生まれるのか? 彼らの「発見力」を5つのスキル(関連づける力/質問力/観察力/ネットワーク力/実験力)に分類。明快な解説とともに、実践する具体的な方法までフォローする。
人物の個人内多様性をはじめ参考にすべきことが実に多い
「『名探偵コナン』は、ある意味で安心して見られる定番の流れがあります。まず事件が起こる。コナンが気づいて解決する。しかも読み進めると人間関係が徐々に変化し、物語が先に進んでいることを実感できる。いわば〝進化するテンプレ〟といえる要素は作品の魅力のひとつであり、ビジネスパーソンが見習うべきポイントだと私は考えます。仕事のルーティンを大切にしながらも常に見直すことがイノベーションを生むのです」
そう話す入山さんは、経営学者、家庭の父親、複数企業の役員など様々な顔を持つ。そのような「個人内多様性」を、コナンが持っていることにも注目してほしいそうだ。
「新一を内包しているコナンのように『個人内多様性』を持つ人は、離れた視点を同時に見て組み合わせられるため、仕事のパフォーマンスが高いという研究結果が多々あります。安室透に至っては、公安、探偵、組織のメンバーというトリプルフェイスです。コナンや安室を参考に『個人内多様性』を豊かにすれば自分の可能性が広がり、仕事のパフォーマンスを高められることでしょう」
コナンが持っている〝弱いつながり〟=ネットワーク力も、ビジネスパーソンにとっては参考にすべき要素だと、入山さんは話す。
「どんな人間でも組み込まれた社会の中で生きています。その中で〝弱いつながり〟を持っておくと、意外な情報が入ってきたり、予想外の出会いがあったりします。これはイノベーションを起こすためにはとても重要なんです。コナンも〝弱いつながり〟をきっかけに事件を解決することもありますよね。仕事で行き詰まった際はコナンを参考に、あえて希薄な関係性の人に知見を求めてみてください。課題を解決するヒントが見つかるかもしれませんよ」
DIME最新号は読みごたえたっぷりの「名探偵コナン」50ページ大特集
今月のDIMEは今年連載30周年を迎えた「名探偵コナン」を約50ページにわたって大特集! 全世界累計部数は2.7億冊を突破、昨年公開の映画『名探偵コナン黒鉄の魚影(サブマリン)』は初めて興収100億を突破するなど進化を続ける超人気作品の魅力を徹底取材!
連載30年の歩み、愛され続ける理由、コナン沼にハマった著名人インタビュー、担当編集が明かす制作の舞台裏、コナンで身につくビジネススキルなどあらゆる角度からコナンの魅力を紐解きます。
特別付録はリモートワークで役立つ「『名探偵コナン』マウスパッドファイル」
©青山剛昌/小学館