逃げずに自分の運命に立ち向かっていくことの大切さを教えられた
このセリフが斎藤さんの胸をついたのは、大学時代。高校3年の夏に甲子園の優勝投手となり、「ハンカチ王子」として一躍〝時の人〟に。大学進学後も何かと注目を浴びていた頃のことだ。
「当時の僕は、『マスコミが嫌だ』とか、『ハンカチ王子じゃなければな……』と、ネガティブなことばかり考えていました。ふと読み返した単行本でこの言葉に出会った時に、逃げずに自分の運命に立ち向かっていくことの大切さを教えられた気がしたんです」
冷静な判断力とは裏腹に、時には危険を顧みずに突っ走ってしまう情熱的な部分も、江戸川コナンの魅力だとも語る斎藤さん。確かに、黒ずくめの組織の謎に迫るため、はたまた、仲間を守るため、単独でも突き進むコナンの姿は、幾度となく描かれてきた。
「リスクを背負ったとしても行動するその姿に、僕自身、経営者として決断や挑戦をするうえでも、力をもらっています」
初めて出会った少年時代から時を経て、経営者となった今も、『名探偵コナン』が、斎藤さんに多くの気づきを与えてくれている。
3つのQuestion
Q『名探偵コナン』のキャラクターで親友になりたいのは誰?
灰原 哀
冷静に物事を判断してくれる人が身近にいてくれたら心強い、という理由で灰原哀。「コナンをうまく引き止めたり、時には見守ったり、達観している。僕は突っ走ってしまいがちなところがあるので、親友だったら助かるなと思います」
Q『名探偵コナン』の単行本で一番好きなのは何巻?
29巻
本文中にも登場した、心に残っているコナンのセリフが登場する巻。「ちょっとした言い回しやタイミングで言葉の印象は変わると思うのですが、青山先生は絶妙な場面で重みのあるセリフを差し込みますよね。そのセンスには脱帽です」
Q 阿笠博士の発明品で一番欲しいものは?
蝶ネクタイ型変声機
コナンのトレードマークのひとつでもある蝶ネクタイ。事件解決の局面では変声機となって声色を変え、真相へと導く。「たくさんあって迷いますが、1つ選ぶならコレ。良からぬことも含めて何でもできそうで、使い方は迷いますけどね(笑)」
「『黒ずくめの組織』を意識して、今日は全身黒の衣装を選んできました」と斎藤さん。
取材・文/坂本祥子 撮影/藤岡雅樹