【古墳王子の早口コラム】
はじめまして、小学生の頃から古墳の魅力に目覚め、訪ねた古墳は3000基以上の高校生、古墳王子です。
このコラムでは皆さんにディープでマニアックな古墳の魅力が伝わるよう、僕が感じた感動や発見をオタク特有の早口でお伝えしていきます。
今回のテーマは古墳の形、教科書でもおなじみ「前方後円墳」について。
もしかして最初はセクシー?箸墓古墳にみる前方後円墳のはじまり
小学校の歴史の教科書に必ず登場する、鍵穴のような形の前方後円墳は、定番すぎてみんな知ってるぐらいメジャーな古墳だと思います。
実はよーく観察していくと、同じ前方後円墳にも時代によって細かな違いがあるってご存じでしたか?
まず有名なところでいえば、日本列島のどこかに卑弥呼がいた時代、今から約1800年ぐらい前に築造されたと考えられる古墳のなかでも最古級にあたる奈良県の箸墓古墳は、ただ丸に四角をくっつけただけではない、こだわりのフォルムを持つ大変美しくセクシーなスタイルなのですっ!!
……この人は何を言っているのかな?と若干引き気味な方も多いかと思うので、まずはわかりやすく画像でご覧頂きたい。
リアル箸墓古墳クッション(製作販売・宇宙椅子)
こちらは原寸の約1/650のサイズで製作された箸墓古墳のクッションですが、ぼくが手で支えている上の丸い後円部から下の四角い前方部に伸びる角度、このくびれ部分の絶妙なカーブがもう……たまりませんてっ!!
さらに平坦に見える後円部の高さも、実際はまさかの4段築成プラス円形壇。クッションではステッチで表現されていますが、高さのある後円部から、細長く前方部がスロープのように降りていく様子が、何とも計算し尽くされたかのような様式美なのであります。
では実際に空から見た箸墓古墳の姿もご覧ください。
箸墓古墳(奈良県桜井市) Google mapより引用
現在は木々に覆われてモコモコしていますがくびれの部分がはっきりとわかりますね。
調査の結果、築造当時は墳丘に葺石とよばれる石が積まれ、埴輪も置かれていたそうです。
この古墳を守るためわざわざくびれに道を沿わせているところもニクイ!
こういった古墳時代前期初頭にみられる前方後円墳の形の特徴は、三味線のバチの形に似ていることから『バチ形』や『柄鏡式前方後円墳』とも呼ばれ、古墳にちょっと詳しくなってくると、航空写真や測量図を見ただけで「これは前期頃の古墳だね」などと知ってる感をつい出してしまうので要注意です。