連載/山田美保子の「ギョーカイ裏トレンド図鑑」
大阪でしか買えない、タカラジェンヌ達が愛するクッキーとは?
全国の銘菓の多くは日本中どこでも買えるし食べられる時代になって久しいけれど、「〇〇でしか売っていない」モノをギフトで貰い、それがすこぶるおいしかった時の幸せというのは極上のものがあるし、すぐに誰かに知らせたくなる。
今年2月、手土産に精通しているベテラン生保レディから教えてもらったのが大阪府豊中市本町に小さな店を構える『クッキー工房BUN』のクッキー。彼女が自信をもって顧客である私へのギフトに選ぶのだからタダモノではないと思いながら開封し、つまんでみたら、そのどれもがおいしくて、素人の私でも、とても丁寧に焼き上げられたモノであることがわかった。
聞けば、場所柄、タカラジェンヌの顧客が多いという。ジェンヌさんたちもまた洒落たスイーツに精通していることで知られるが、彼女たちがレッスンや公演後の癒しに『~BUN』のクッキーをつまんでいるのを想像したら、そのひと時もまた愛おしくなった。
一人の女性が〝手作り〟で始めた『クッキー工房BUN』
創業は2019年2月。店名は、店主の名前=杉本文音(すぎもと・あやね)さんから付けられた。
もともと〝和カフェ〟をやりたくて製菓学校を卒業後、京都の和菓子屋さんで働いていたという杉本さん。
それから「一流の接客を身につけるため」『ザ・リッツ・カールトン大阪』に勤務した後、学生時代からの夢だった自身の店をもったという。
和菓子店に居た頃からクッキー作りにハマり始めるも、味がまとまり、バリエーションを増やすまでには数年かかったというが、試食した知人の多くがそのすべてを大絶賛。
そうした方たちから背中を押され、元スナックだった居抜きの物件を契約したが、当初はクッキー以外、何も準備していないところからスタートしたという、まさに〝手作り〟が魅力の『~BUN』なのである。