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全米を代表する小説家トルーマン・カポーティの作品がメディアに与えた影響

2024.05.06

はじめに

トルーマン・カポーティ(1924ー1984)といえば、20世紀のアメリカを代表する小説家です。

その文学作品は、鋭い洞察力と独特の文体で知られており、小説、短編小説、戯曲、ノンフィクションなど多岐にわたります。

そこで今回のアイデアノミカタは「トルーマン・カポーティ」と題して、カポーティの代表作と作品がメディアに与えた影響、華やかな社交界から晩年に至るまでを解説していきます。

<ポーティの代表作

【遠い声、遠い部屋】

「遠い声、遠い部屋」(原題:”Other Voices, Other Rooms”)は、トルーマン・カポーティの初の長編小説で、彼の文学キャリアの出発点とされています。1948年に出版されたこの作品は、彼の故郷である南部アメリカの風土と成長と自己発見の物語を織り交ぜています。

主人公のジョエル・ノックスが、父親を探しに物語の架空の町「ヌーンシティ」に向かうところから物語は始まりますが、そこで出会う個性的なキャラクターたちとの交流を通じて、彼は自分自身と向き合っていくことになります。

この小説は、カポーティ自身の少年期とその孤独感、同性愛への気持ちを反映していると言われており、文学的にはゴシック小説の影響を受けつつ、鮮やかな描写と詩的な言語で彼の感情を表現しています。カポーティはこの作品で、深い人間心理の探求と独特なスタイルを確立し、20世紀の米国文学に颯爽と登場するきっかけとなった作品です。

【冷血】

「冷血」(原題: “In Cold Blood”)は、トルーマン・カポーティが1966年に出版した作品で、1959年にカンザス州の小さな町で起きた実際の殺人事件を基にしたノンフィクションの形式を取っています。この本は犯罪の背後にある心理や社会的背景に深く潜入しています。

カポーティは、この作品でジャーナリズムの手法を採用しつつ、文学的な表現で物語を紡いでいます。彼は実際に事件が起きた場所を訪れ、捜査官、犯人、地元住民など関係者への徹底的なインタビューを行いました。その結果、非常に詳細で生々しい描写が可能になり、読者が事件の状況を目の前で見ているかのようなリアリティを感じさせます。

また「冷血」は犯罪をただ報告するのではなく、その心理的・社会的要因を掘り下げることで、犯人と犠牲者の人間性に光を当てています。カポーティは犯人であるペリー・スミスとリチャード・ヒコックの背景や心理状態を詳細に描写し、彼らの行動を動機づける要因を探求しました。この深い心理描写は、読者に犯罪に対する一層複雑な理解を促しています。

この作品は「ノンフィクション・ノベル」というジャンルを開拓したとされ、事実に基づく報告と創造的な物語の間の境界を曖昧にしました。カポーティのアプローチは後のトゥルークライムジャンルやドキュメンタリー作品に大きな影響を与え、リアルな事件を題材にした作品の方法論に新たな方向性を示したのです。

「冷血」はそのリアリズム、心理的洞察、文体の革新性で評価され、トルーマン・カポーティの代表作として、文学だけでなく広範なメディアにおいてもその影響力を示しています。

【ティファニーで朝食を】

「ティファニーで朝食を」(原題:”Breakfast at Tiffany’s”)は、トルーマン・カポーティによる1958年の短編小説で、後にオードリー・ヘプバーン主演で映画化され、広く愛される文化的アイコンとなりました。この作品は、1940年代のニューヨークを舞台にしており、若くて魅力的な社交界の女性、ホリー・ゴライトリーの生活を描いています。

主人公のホリー・ゴライトリーは、テキサス州の小さな町から逃れてニューヨークに来た19歳の女性です。彼女はマンハッタンのアパートメントで独立して生活し、裕福な男性との交際を通じて生計を立てています。物語は、彼女の隣人である無名の作家(映画ではポール・バージャックと名付けられています)の視点を通して語られ、ホリーの不思議で魅力的な人物像が浮き彫りにされます。

「ティファニーで朝食を」は、自由を求めるホリーの冒険と、それに伴う孤独という代償を描いています。ホリーは表面上は自由奔放で洗練された生活を送っていますが、彼女の内面は不安定であり、過去のトラウマやアイデンティティの問題に苦しんでいます。この物語は、外面的な華やかさの背後にある人間の複雑な心理を掘り下げ、見かけの自由が本当の幸福とは限らないことを示唆しています。

またカポーティの鮮やかな描写と洗練された文体は、ニューヨークの魅力を色濃く反映しており、ホリー・ゴライトリーをアメリカ文学の中でも特に記憶に残るキャラクターの一人として位置づけることに成功しています。

冷血とトゥルークライムジャンルの隆盛

カポーティの「冷血」は、トゥルークライムジャンルの形成に大きな影響を与えています。

この作品が登場する以前は、犯罪に関するリポートはしばしば事実の列挙に留まりがちでしたが、「冷血」では犯罪の心理的背景と人間ドラマが深く掘り下げられ、読者が事件に対してより感情的に関与するようになりました。

【カポーティが冷血で採用した取材方法】

カポーティは1959年に発生したクラッター家の惨殺事件を取材するため、カンザス州ホルコムに長期間滞在しました。滞在中、カポーティは地元の住民たちとの広範な対話を通じて事件に関する詳細な情報を集め、地元警察や被害者の家族など、事件に直接関連する人々にインタビューを行い、事件の背景を深く探求しました。

このアプローチは現代のトゥルークライムコンテンツ、特にデジタルプラットフォームでの表現に直接影響を与えています。例えばNetflixのドキュメンタリーシリーズや、Spotifyのポッドキャストでは、事件の詳細な背景、被害者と加害者の心理、社会的環境が詳細に描かれることが多く、視聴者やリスナーに深い洞察を提供しています。

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