SONYの新世代、重低音をULTボタンで体験せよ
ハイレゾ音源で最初に注目されたのは超高音だった。CDを超える20kHz以上が記録再生可能なのだが、人間の耳がそれに追いつけないため、その恩恵に預かるのはごく一部の人だった。しかし、超低音もきっちり記録できる。J-POPには打ち込みによる50Hz以下の音が高いレベルで入っている。問題は再生装置の方で小型スピーカーでは到底出せない超低音だ。これを解決したのがヘッドホンである。スピーカーで体感するには50cmウーハーが必要だった超低音もヘッドホンであれば音圧と振動を体感できる。
SONYがおこなった10代から20代のアンケート調査によると、80%の人が迫力ある重低音を楽しみたいと回答したという。さらにどんな時に重低音を聴きたいかという問いに対して、2人に1人が気分転換に活用していることが分かった。これを受けてSONYはボタンを押すだけで圧倒的な重低音が体験できる「ULT POWER SOUND」を提案、従来とは別のラインナップとして新製品を発売、それが「ULT WEAR」である。ULTボタンを押すだけでパワフルな重低音が再生されるのだが、このボタン実は3段階になっており、ULT2にした場合、SONY史上最高の重低音が体感できるという。じゃあULT3はと思ったのだが、ULT3は存在せず、アルトOFF、ULT1、ULT2の3段階なのだ。ちなみに電源ONにするとアルト1で起動する。
「ULT WEAR」はフォレストグリーン、ブラック、オフホワイトの3色展開
イヤーカップに大きめなULTボタンがあり、重低音をブーストできる
EXTRA BASSより進化したULTの実力は?
SONYの重低音ヘッドホンと言えば、EXTRA BASSシリーズの「WH-X8910N」があるが、「ULT WEAR」と音はどう違うのだろうか。最大の違いは「ULT POWER SOUND」は中高域に影響を与えず、歯切れがいい低音で解像度も高く、音がこもらない。J-POPなどの打ち込みに対応した現代的な重低音と言える。EXTRA BASSは低音の量感は増すが、高域は弱くなりボーカルが聞きづらくなる傾向があった。ULT2にするとさらに量感がアップするためやや解像度は低くなる。ハウジングが共振するほどの重低音なのでアクション映画などのAV用に向いていると思った。
ANC用にフラッグシップモデル「1000X」シリーズに搭載された総合プロセッサV1を採用、4つのマイクを使うことで「WH-X8910N」を上回るANC性能を発揮、同社のランキングでは星3つの評価となる。連続仕様時間はANC ONで最大30時間、OFFなら最大50時間となる。充電は3分で1.5時間、10分で5時間の急速充電対応。フル充電まで約3.5時間かかる。圧縮音源の高音質化技術DSEE対応、コーデックはSBC、AAC、LDAC対応、360 Reality Audio、マルチポイント接続にも対応する。
ファブリック調のキャリングケースにケーブルなどの付属品も収納できる