オンラインのセキュリティ対策製品を提供するマカフィーから、「ディープフェイクが選挙に及ぼす影響に関する調査」の結果が発表された。
この調査は2024年の米国大統領選挙やその他の選挙など、世界で重要な選挙が相次ぐ選挙イヤーにおいて、ディープフェイクが選挙に与える影響への人々の懸念についてまとめたものだ。
誤報と偽情報は米国人にとっての重要な懸念事項であり、バイデン大統領の声を用いた偽のロボコールという自動音声による電話(英文: https://www.mcafee.com/blogs/internet-security/was-the-fake-joe-biden-robocall-created-with-ai/)をめぐる最近の事件は、広範囲にわたって偽情報が拡散する可能性のある問題の一例となった。
ジョー・バイデン アメリカ合衆国大統領
アメリカ人の43%が「ディープフェイクは選挙に影響を与える」と回答
最も懸念されるディープフェイクの利用法についての質問で米国では、選挙関連のトピックが上位を占め、具体的には、43%が「選挙に影響を与える」、37%が「メディアに対する国民の信頼を損なう」、43%が「公人(例えば政治家や有名メディア関係者)になりすます」、31%が「歴史的事実を歪曲する」と回答している。
日本では、21%が「選挙に影響を与える」、27%が「メディアに対する国民の信頼を損なう」、40%が「公人(例えば政治家や有名メディア関係者)になりすます」、21%が「歴史的事実を歪曲する」という回答になっている。
米国マカフィー(McAfee, LLC、本社:米国カリフォルニア州)の最高技術責任者(CTO)であるスティーブ・グロブマン(Steve Grobman)氏は、今回の調査について次のように述べている。
「世界各地で選挙が相次ぐ選挙イヤーにディープフェイクを作るのは、今や半日もあれば誰でもできます。クローン音声やディープフェイク動画を作るツールは簡単に入手でき、使いこなすのに数時間かかり、そして、それが本物であるかのように見せて人々を信じ込ませるのはほんの数秒しかかかりません。生成AIが音声や映像を簡単に操作できるようになったことで、特に重要な選挙イヤーである今年は、コンテンツや情報の信憑性について重大な疑問が投げかけられています。
マカフィーは、特に選挙時においては、消費者に健全な懐疑心を持つことを勧めます。マカフィーでは、AIにはAIをもって打ち勝つようなディープフェイク音声検出技術から、テキストメッセージ、ソーシャルメディア、ウェブブラウザ上の危険なリンクを分析し、ブロックするといったオンラインセキュリティまで、プライバシーや個人情報の保護に役立つ様々なソリューションを提供しています」
消費者は真実と虚構を慎重に見分けることがますます求められるように
生成AIコンテンツが広く出回り、リアルな映像や音声を複製できるようになった現代において、本物と偽りのニュースを見分けるのに、人間の目や直感はもう頼りにならない。
・米国では10人中7人近く(66%)が、日本では2人に1人(51%)が、1年以上前からディープフェイクに懸念を抱いている。
・米国では回答者の半数以上(53%)が、日本では4人に1人以上(27%)が、AIによってオンライン詐欺を見破るのがさらに難しくなったと回答。
・米国では72%、日本では97%とソーシャルメディアユーザーの回答者の大多数がフェイクニュースや詐欺などのAIが生成したコンテンツを見分けるのは困難だと感じている。
AIで生成されたボイスメールやボイスメモを誰かがシェアした場合、本物と偽物を見分ける自信があると思う人は米国では27%、日本ではわずか3%だった。